「ファンタジーを創るバンド」を掲げる4人組・クジラ夜の街のメジャーデビュー作。ひとたび再生ボタンを押せば、“時間旅行 (Prelude)”の予測不能な展開と愉快なフレーズに一気にクジラワールドに誘われる。過去と未来を縦横無尽に飛び交い、夢を追う主人公を描いた“時間旅行少女”、架空のダークヒーローが暴れまわる、やりたい放題のロックチューン“BOOGIE MAN RADIO”、水中を漂っているような浮遊感が美しいサウンドで恋心を描く“ハナガサクラゲ”――と三者三様の物語が続くが、ラストを飾る “踊ろう命ある限り”では打って変わって、宮崎一晴(Vo・G)のリアルな心情が綴られた歌詞にギュッと胸を掴まれる。《ミュージックと数人の友人と恋/それで事足りた世界/不安も不満も尽きぬが/突き抜けりゃそれも良いのだよ》――躍動するバンドサウンドと心地よい韻が身体を揺らし、このフレーズがあれば乗り越えられる夜がいくつもあるだろうなと想像する。彼らの音楽に浸っているその間だけ、自分こそが人生の主人公なんだと、強くなった気になれる。そんな魔法の音楽がここにある。(竹内ほのか)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)
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