デビュー25周年を記念した8年ぶりのCDシングルで、表題曲は博多時代からつながりのある元NUMBER GIRL/bloodthirsty butchersの田渕ひさ子と元ロレッタセコハンの時津梨乃、そしてNYの現行ジャズ/ヒップホップシーンの中心で活躍するキーボーディストBIGYUKIとのセッションのために書き下ろされたもの。《今ここで会ったが百年目/野郎め天誅だい参ったか(めぇったか)/目には目を血で血を洗え》など、全編を通じてひたすらに「め」で韻を踏んでいく小気味好さと、《尚なお》を「ニャーオニャーオ」と発声する可愛らしさとが絡み合っての中毒性がえげつないことになっている。また、グランジマナーで掻き鳴らされるギターと性愛について歌うテーマ設定は初期の彼女の作風を連想させるものの、前述の細やかな技巧や洒脱な鍵盤のアレンジにより、確実に今日の椎名林檎という作家の凄味を宿した作品となっているのが本当に素晴らしい。社会現象に祭り上げられ、幾度も傷を負いながら、それでも生き馬の目を抜くポップシーンに身を晒し創作し続けてきたからこそ、辿り着いた今だ。(長瀬昇)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年7月号より抜粋)
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