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柳沢亮太(G)が紡ぎ出す音と言葉は、渋谷龍太(Vo)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の感情も映し出している印象がいつもする。そして多くのリスナーにとっても、「自分の気持ちを歌ってくれている」という感覚になる瞬間の連続なのだと思う。言葉などによってうまく形にできない想いに鮮やかな輪郭を授けられるのが、SUPER BEAVERの音楽だ。そしてこのような力は、主題歌という役割を果たす際にも輝く。“儚くない”は、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』主題歌。ヒナタの命を救うのが主人公・タケミチの願いだが、仲間を守りたい気持ちも募り続けている。大事な人が増えるごとに膨らむ喪失への恐怖を、《この心は 誇っていたいな》と歌うこの曲をもし彼が耳にしたら、心動かされるのでは? 生命は有限である以上、人同士の関係にはいつか終止符が打たれる。しかしそれを「儚い」と嘆くのではなく、積み重ねていく日々を全力で肯定するこの曲は、リスナー各々の人生の主題歌にもなり得る。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年8月号より抜粋)
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