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“Now is the best!!!”を聴いたとき、TikTokで流行りの他の若手バンドとは何かが違うと感じた。リフレインするメロディに高まる恋心を描く感情移入しやすい歌詞というバズり要素は兼ね備えているが、そんな評価で片付けるにはあまりにもったいないほど、音楽的才能が溢れ出た曲だった。そしてその直感は、今作で確信へと変わる。耳に残るギターリフでロックバンド感を全面に押し出した“過呼吸愛”のような曲から、バンドの枠にとらわれない壮大なバラード“夢の10年後”まで、たった7曲で、初のミニALで、ここまで音楽的な豊かさを見せるのはそう簡単なことではない。雪村りん(Vo・G)と林龍之介(Dr)というふたりの優秀なソングライターが、双方バラエティに富んだ楽曲を生み出せるからバンドの可能性が無限大に広がっているのだ。SNS上の承認欲求や学生生活を切り取る歌詞で10代の心に寄り添いつつ、第一線で活躍する大物バンド感を漂わせるサウンドが、単なるバズで終わらない彼らの将来を保証している。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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