『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
底知れぬセンスと実力を持った次世代クリエイターが、新たな挑戦をきっかけにさらなる可能性を広げた。SNSをきっかけに“凡人様”や“ゴールデンタイム”などが注目を集め、ジャンルにとらわれないサウンドデザイン、ポップなメロディ、表現力に富んだボーカルに定評がある彼女が、初めて書き下ろしたアニメ主題歌。タイアップ作品の要素だけでなく、既発曲では知り得なかった彼女のルーツも反映されている。感傷的なメロディと抒情的なボーカル、バンドとストリングスによる壮大なバラードが、中盤で学生の合唱を思わせる歌唱とバンドサウンドの融合に切り替わると、そこからゴスペルセクションへと接続する。大胆な独創性と滑らかさを併せ持つ展開は包容力に富み、瞬く間に胸がすいた。消えない幼き日の記憶と苦悩、仲間たちと笑い合う喜び、戸惑いや葛藤など、様々な感情が一切の噓なく生まれ続ける青き日々。若き頃の青春にしか存在し得ないぬくもりと切なさが、「消えないで」と泣きじゃくるように輝いている。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』3月号のご購入はこちら