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現実世界に散らばる狂気とロマンティシズムが渾然一体となる彼らの魅力が完全に炸裂している。深夜の荒んだ酒場から美しき祈りを繰り返す“天使になるかもしれない”は新たなアンセムになりそうな存在であるし、《空を英訳したような》という秀逸すぎる形容で始まるセンチメンタルな“夏に思い出すことのすべて”や結成初期から支持率の高い“翼もください”のリテイクもいい。ただ、衝撃が凄まじいのはヤマトパンクス(Vo・G)の制作と向き合う日常がより日記的に書き殴られ、スリリングに歌い叫ぶ“ひとつの曲ができるまで”。緊迫感溢れるサウンドの中、《「同じことばっかり歌ってるね(笑)」って/当たり前やろ全部俺が歌ってんねん!》と言い切るパンチラインが強烈。ヤマトの歌詞は対比が軸になり、混沌とした風景や宇宙をモチーフにすることも多いが、それは世間へ戦略的にフィットしようとせずに正直だからこそ。彼らが愛される理由のひとつがここにある。(ヤコウリュウジ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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