止まらない自生の驚異

オネイダ『レイテッド・オー』
2009年08月26日発売
ALBUM
オネイダ レイテッド・オー
ブルックリンがもてはやされる以前からかの地で歪んだ爆音をかっ飛ばし、異彩を放ってきたノイズ・ロックの10年選手オネイダ。作品が出るたびチェックせずにいられないのは、70年代(メタル、プログレ)を独自に消化した電撃ガレージを基盤に、ミニマル、スペース・ノイズ、アヴァン・ジャズと姿を変え増殖し続ける彼らの世界が好奇心と謎を掻き立てるから。不思議ゆえに手を伸ばすが、ハイパーなテンションに「ヤられた!」という手ごたえは残っても、その意味はさっぱり分からない。

本最新作にしてもそれは同じだが、頭をカラにし、オープン・マインドで音の波動に揺さぶられる快感はやはり得がたい。昨年始まった3部作の2枚目にして3枚組というのは驚きだが、彼らの最大の魅力であるライブの拡張性(全員めちゃ上手く、インプロも抜群)とフリー・スピリットを手を加えず記録するという意味で面白い試みだと思う。この作品でオネイダ・マラソンにトライするもよし、比較的コンパクトな『Come On〜』『Anthem of The Moon』あたりから足を踏み入れるもよし。どっちにせよ、ワン&オンリーな世界が待ってます。ようこそ。(坂本麻里子)
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