YUIは今も昔も変わらずまっすぐで、だからこそ彼女は強くならなければならなかったのだと思う。休暇を挟んで2年3ヶ月ぶりに発表されるこのアルバムで、YUIは本当に強くなった。だがそれは、単純に激しいとか鋭いとかいうだけの強さではない。まっすぐなものがさらに先へ先へと伸びてゆくには、ある段階から必ず柔らかさが必要になってくる。まっすぐなものは、伸びれば伸びるほどに折れやすくなるからだ。アルバムタイトルや多くの曲名、そして柔和なジャケ写からもわかるように、今作にはこれまでになく柔らかい雰囲気がある。だが一方では、《進むために 敵も味方も歓迎じゃん》(“again”)と歌う不敵なまでの逞しさもあって、本作にはまっすぐであるために闘う覚悟が随所に漲っている。闘うためには穏やかな日常が必要であり、幸せな日常を送るためには敢然と闘う必要があるということを、彼女はこの作品への準備期間となった休暇の中で、改めてはっきりと認識したのではないか。柔らかな楽曲と力強い楽曲が互いを求め合いながら並び立つ様子には、根を張った圧倒的な強さがある。(井上智公)