スターターはそこでばっちりで徐々に奥に招き入れていく手綱さばきも快調で、中盤のゴスペル・コーラスを配した“ジャッジメント・デイ”や、続くニューオリンズの宝アラン・トゥーサンやウィントン・マルサリスを迎えた“マイ・ヴェリー・グッド・フレンド・ザ・ミルクマン”あたりでため息の一つもつかせる手口も鮮やか。派手なところはまるでないのにジワジワと身体の奥深くが感応するのはクラプトンの狙いどおりか。またアーヴィング・バーリンやファッツ・ウォーラーといったジャズ系のこれまで取り上げてこなかったような人たちの楽曲や、最後にはシャンソンの古典“枯葉”までもカバーして聴かす。
プロデュースが最近の右腕的存在のドイル・ブラムホールⅡ、さらにJ.J.ケイルやデレク・トラックスといった近年共演してきた人々や元のガールフレンド、シェリル・クロウらがゲスト参加して繰り広げられるリラックスしたセッションは、さながらライブの中盤のSit Downパートを丁寧に拡大したかのようだ。敬愛する音楽たちへのクラプトンからの最大級のリスペクトに心地よく酔える。(大鷹俊一)