ダイヤモンドは瑕つかない

ウィーザー『ピンカートン<デラックス・エディション>』
2010年11月24日発売
ALBUM
ウィーザー ピンカートン<デラックス・エディション>
青盤のデラックス・エディションから6年、ファン待望の第2弾=本作DX化が遂に実現!である。ディスク1は、アルバム本編に加え、当時のシングルB面曲中心に編まれた納得の布陣。M11、12、14、15は1枚目から抜け出そうとする過程を捉えた記録とも言えるし、コア・ファンに愛されてきたこれらの隠れ名曲に改めて陽が当たるのは心底嬉しい。ディスク2は、ライブ音源および当時の未発表曲/別テイクのアンソロジー。注目の未発表曲群は、この時期より、むしろ近年のウィーザーに通じるものがある点が興味深い。リヴァースのソングライティングの実験・取り組みは、この頃から多岐に亘っていたのだな。ライブ音源はいずれも良く、特にアンプラグド型ラジオ・セッションM2、3、4(既発はM2のみ)は、『ピンカートン』楽曲の柔軟性~ポテンシャルを物語るものだと思う。

発売当時、特にアメリカで多かった本作に対する不当な評価/誤解の証拠物件として(?)、ディスク1にファンとのラジオQ&Aが収録されているのは面白い。「1枚目は完璧にまとめられているのに、新作はなぜそうじゃないのか?」との質問に対し、リヴァースは「完璧さにこだわりすぎて、ファーストは“殺菌”されてしまった」と返す。理性と構築の傑作である青盤に対し、本作は脈打つハートの狂おしさを(みっともなさも含め)刻み切った見事なドキュメント、ということ。そこで、「そのふたつを統合し、更なる名作を……」とニーチェ風に求めることも可能だろうが、そもそもあの2枚を立て続けに作ることができた、それ自体が奇跡に近いのを忘れたくない。(坂本麻里子)
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