聴かなくてもライブには来てね

ブラック・アイド・ピーズ『ザ・ビギニング デラックス・エディション』
2010年12月01日発売
ALBUM
ブラック・アイド・ピーズ ザ・ビギニング デラックス・エディション
前作から1年半で早くも到着した新作。えらく早いなと思ったが、聴いたら分かった。何でもよかったのだ。というか、完全にツアー対応のアルバムなのである。ウィル・アイ・アムのコメントによれば今回は世界の“イマ”についてのアルバムだそうだが、ファースト・シングル“ザ・タイム(ダーティー・ビット)”のチップチューンなサウンドはむしろレトロ。そこでサンプリングされているのも『ダーティ・ダンシング』の主題歌だ。前作でエレクトロを取り入れて味をしめたのか、今作の彼らはよりシンプルにダンス・ミュージックの快楽を追求する。4つ打ちにメロディックなウワモノ、決めどころでファーギーのボーカルを投入。この勝利の方程式でアリーナをアゲるためだけに生み出されたトラックたち。つまり、曲を知っていようが知っていまいが即応できるということが重要で、それは巨大化し続ける彼らのショウを考えると順当な戦略にも思える。もうフックとなるヒット曲はいくらでもあるのだから心配ないのだ。音源とツアーとどっちが大事? 経済的にも彼らの姿勢としても、その答えはすこぶる明快。いいか悪いかは別の話ですが。(小川智宏)
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