レディへと同時期は偶然か

R.E.M.『コラプス・イントゥ・ナウ』
2011年03月09日発売
ALBUM
R.E.M. コラプス・イントゥ・ナウ
rockin'on 2011年3月号のアンケート・ハガキで「今年最も夏フェスに来てほしいアクトは?」という設問があったのだけど、R.E.M.という回答が多くて嬉しかった。観たいよねぇ、R.E.M.。前回の武道館が2005年だから、もう6年近く御無沙汰ということになる。とはいっても、その前は95年だから10年ぶりだったのだけど。しかし、今回の新作については、アルバムをサポートするようなツアーはやらないと断言している。まさにウルトラCでフェスでの来日でも決定しない限り、またしばらく観ることはできなさそうだ。だけどこれだけCDが売れないと言われて、みんなツアーで稼いでいる時代に、自分たちが納得できないから、ツアーはやらないと決断できるバンドだからこそ、僕たちはずっと待ち続けているのだとも思う。

『アクセラレイト』以来、3年ぶり15作目となる新作。前作でも復活の兆しを見せていたが、今回は完全復活と言っていいだろう。ロック・チューンも、ミドル・テンポのナンバーも、バラードもR.E.M.によるR.E.M.になっている。パティ・スミスやエディ・ヴェダーをはじめ多くのゲスト陣も話題だが、ビル・ベリー脱退後、苦難の道を歩んできた彼らが考え抜いた末に制作に取り組んだバンド自体の成果に他ならないと思う。アルバムの後半に入ってもテンションは一切落ちることなく、アルバムの最後を飾るスポークンワード“ブルー”を聴き終えて、1曲目の“ディスカヴァラー”のリフレインが始まった瞬間、「アルバム」ならではの感慨が広がる。結成から30年を越え、打算なしにロックを愛してきた人の作品だと思う。(古川琢也)
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