スウィングの魅力を改めて

キティー・デイジー・アンド・ルイス『スモーキング・イン・ヘヴン』
2011年05月25日発売
ALBUM
キティー・デイジー・アンド・ルイス スモーキング・イン・ヘヴン
父は腕利きエンジニア、母親は元ザ・レインコーツというサラブレッド三兄妹、待望のセカンド・アルバム。例によって自宅にあるヴィンテージ機材を駆使してのフル・アナログ録音で、そのハートウォーミングな響きが冒頭から何とも気持ちいい。意表をついたレゲエもので、それもブルービートと呼ばれた時代に連れて行ってくれるのは彼女たちならではだし、前作にあった良い意味での気負いが流れ落ちリラックスしたスウィング感が最高だ。エクストラ的なものとしてこうした30、40年代のサウンドに取り組むアーティストたちもいるが、そうではなく身近にあるものと遊ぶ感覚でこの音を組み立てているところが他のバンドにはない魅力であり、前作以上にそれがこちらに伝わってくる。その原因が前作以降、積んできたライヴでの経験が背景にあるのは間違いなく、アップビートのものなどはとくに成長が著しく、音楽的な表現力も多彩になっている。それとソングライティングの力も明らかに上がり、サウンド・スタイルの珍しさを超え単純に良い曲として気持ちよく聴いてられる。あとはあの美しい姉妹が太っていかないことを願うだけ。(大鷹俊一)
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