解散とかもう言わないでくれよ

ゴリラズ『ザ・シングルス・コレクション 2001-2011』
2011年11月30日発売
ALBUM
ゴリラズ ザ・シングルス・コレクション 2001-2011
架空が前提のバンドだからおかしな話なのだが、キャラのひとりマードックが仄めかしていた不穏な呟きは、解散ではなくこのベスト盤の前フリだったということになった。そこで感じたのは、10年のキャリアと4枚のアルバムを経て、確かに彼らは巨大な成果を残したけれども、まだまだ辞めたりしてほしくないという強烈な願望だった。しかし最近のデーモン・アルバーンの動きを見れば、ブラーの新作にもいよいよ取り組みつつ、コンゴ録音のアルバムを完成、そしてレッチリのフリーたちと新バンド結成――と、本人のメディアとしてのハイパーな進化が早すぎて、ゴリラズという「ほぼ制約ゼロ」の枠組みすら、今では窮屈になっているのはよくわかる。そういう意味で、この15曲はブリットポップ終了以降のデーモンが、どのようにブラーの重荷から解放され、どのように自らを鍛え上げたかという、貴重な天才の軌跡に他ならない。初期には匿名性とビートの雑食性をヒップホップから吸収し、今や民族音楽もゲームもエレクトロもサイケも飲み込んで昇華できる腕前は本当に唯一無二。力作ぞろいのPVを一気に観られるのも嬉しい。(松村耕太朗)
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