生と死と、望むべきはどちらか

ザ・ルーツ『アンダン』
2011年12月14日発売
ALBUM
ザ・ルーツ アンダン
怪物アルバムである。昨年は『ハウ・アイ・ガット・オーヴァー』やジョン・レジェンドとのコラボ作があって、今年はブッカー・T・ジョーンズの新作に参加、クエストラヴは来るディアンジェロの新作にも携わっているはずだが、どうしてこんなにも凄まじいアルバムの構想が練り上げてあるのだろうか。極めてコンセプチュアルな作品であり、物語はレッドフォード・スティーヴンスという人物の生涯が、1999年の現実に「幕を閉じた」瞬間から始まる。訪れた死を理解することが出来ず、甘く広がる眠りの誘いの中で彼は、そのとき自身の生と存在の意味について思いを巡らせるのだ。
 
彼の生涯は、抜き差しならない抑圧との戦いの日々だった。予め絶対にハッピー・エンドにはなり得ない物語だから、怒りと絶望はピアノやストリングスの調べによって常に物悲しさが纏わり付いている。ザ・ルーツらしからぬサンプリング・ビーツを用いた楽曲や、ブルース・ギターが掻き鳴らされるナンバーも含め、コンセプト作でありながら一曲一曲がポップかつ強い訴求力を誇り、すべてが救いようのないクライマックスへと向かってゆく。(小池宏和)
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