未来を持ち歩け

The Beatmoss『The Beatmoss Vol.1』
2012年11月21日発売
MINI ALBUM
The Beatmoss The Beatmoss Vol.1
RIP SLYMEのILMARIがヴォーカリストを務めるバンドとして話題を呼んでいるThe Beatmossのデビュー・ミニアルバム。ギタリストのKOSENが洋・邦ロックへの深い造詣を受け止めさせる豊かな作曲をこなし、ベーシストのYASとquasimodeの活躍でも知られるドラマー=SOHNOSUKEがしなやかにボトムを支えるというユニークな編成にも大きな可能性を感じさせる。当然のようにところどころでクリスピーなラップも差し込まれるものの、巧みなソング・ライティングと手を取り合うILMARIのメロディアスな歌唱を堪能できる点は想像以上だ。
 
いつでも過剰な力みがなく、ナチュラルな憂いにうっすらと包まれているかのようなILMARIのヴォーカルの特性はそのまま、その声がメロディの物語性やバンド・サウンドの生々しい息遣いと渡り合いながら新鮮な情景を切り開いてゆくさまにドキドキさせられる。心地好い疾走感を始め、まるでザ・ストーン・ローゼズのようなサイケデリック・グルーヴ、ゆったりと胸に染み渡る最終曲“Flow”までの表情豊かな7曲を繋ぎ合わせているのは、この歌声だろう。 (小池宏和)
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