パーマ・ヴァイオレッツやピース、ストライプスらと共に2013年UK新人レースの先頭集団に付けているのがこのサヴェージズだ。ロンドンに拠点を置く女子4人組である彼女達のサウンドは、ポスト・パンク「風」、ゴス「風」とニュアンスを軽量化してまぶした幾多のニューウェイヴィーな若手バンドと比較すると圧倒的にマジ。「風」なんて言って逃げ腰にならない。彼女達は真正面から本気でスリッツみたいなポスト・パンクをやり、本気でジョイ・ディヴィジョンみたいな暗黒を纏い、さらにはヴォーカルのジェニー・ベスは短髪のスージー・スーにしか見えないヴィジュアルをしている。そしてこのサヴェージズが面白い、いや、愛すべき点は、あまりにもマジに全力でやっているがゆえに、そこにオリジナルのポスト・パンクが本来滲ませていたはずのニヒリズムが消え失せ、代わりに純情さと言うか、ひたむきさと言うか、闇雲なエモさが生まれてしまっているところだ。これは棚からぼた餅的な彼女達のオリジナリティで、青白い顔して前髪伸ばしたもやしっ子メンズのポスト・パンク・リヴァイヴァルからは絶対に生まれえないタイプの肝の据わりっぷり。 （粉川しの）