メジャー・デビュー10周年記念として、ファン投票でセットリストを決めた武道館公演にベスト盤リリース、そして初心に返る如く年末まで続く47都道府県ツアーを敢行中のストレイテナー。その最中にドロップするミニ・アルバムには、ツアー初日の渋谷クアトロでの映像が初回特典となっている事を、まず記しておこう。本体のCDは、そんな彼等の心意気を詰め込んだように、緊張感溢れるリード・トラック“シンデレラソング”が、瞬時に心を掴む。華やかなライヴと言葉もなくなる移動を繰り返すツアー中の気持ちは、真夜中に魔法が解けて現実に返るシンデレラに似ているのかもしれない。ならば旅はハッピーエンドになるはず、と思っていると、続く歯切れのいい英語詞曲“BRILLIANT DREAMER”で「何も永遠に続かない」と甘い夢を打ち砕く。日向秀和の跳ねるベースに歌も弾む“BLACK DYED”、前のめりな“SCARLET STARLET”に翻弄されていると、最後の曲で《僕は歩き出して また陽は昇る》と姿勢を正される。旅を続け削ぎ落とし切った後に残るのはピュアな輝きなのだ。タイトルが改めて目に焼きついた。(今井智子)