2013年は配信曲“RUN with…”以降リリースが相次いだけれど、新曲のリリースがほとんどなく、ライヴもクリスマスまで行われなかった2012年の不在感はやはり大きかった。自ずとリップのネクスト・フェーズを期待せざるを得ない。往年のTVドラマやバラエティ番組からキャッチーなフレーズを拝借したイントロでは4MCの高速リレーが決まり、以後は4人のパートを敢えて均等にするようなこともなく、適材適所で自由度の高い活躍を見せる点がリップらしい。ソロや別動プロジェクトでの目立った動きがなかったSUさんが、ラップに歌モノにと張り切っているのが嬉しいところだ。パーティ・チューンから恋の駆け引きに悶々とする物語まで、まさにザッピングで眺めるような感覚。入り組んだ視界と思考をポップに伝えてしまう情報のカオスが楽しく、お馴染み宮原永海ら女性ヴォーカルとのコントラストによって、MC陣の声の魅力が浮かび上がる。ライヴでは現代的かつ刺激的なフロア対応サウンドを思うさまぶっ放していたFUMIYAが、アルバムでは音をすっきり纏め上げている点も見事だ。(小池宏和)