ニールの変節の一瞬を捉えた名盤

ニール・ヤング『ライヴ・アット・ザ・セラー・ドア』
2014年01月15日発売
ALBUM
ニール・ヤング ライヴ・アット・ザ・セラー・ドア
ニール・ヤングのライヴ・アーカイヴ・シリーズの一巻となる作品で、70年11月末から12月にかけてワシントンDCのクラブで6公演行われたソロ・アコースティック・ライヴの音源をまとめたもの。時期的には『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』をリリースした後で、ニールはソロ・アコースティック・ツアーを北アメリカで敢行していて、その一環としてのライヴである。ただ、この翌月には07年にリリースされたライヴ盤『ライヴ・アット・マッセイ・ホール1971』に収録されたライヴが行われるが、この時のライヴがすでに72年の『ハーヴェスト』の楽曲を多く紹介し、その内容を予告するものになっていたのに対して、そのわずか1か月前に行われたこのライヴはまだ『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』とそれ以前の楽曲のライヴになっているところが興味深い。この両ライヴの間になにか『ハーヴェスト』へとニールの背中を押す機会があったということなのだろう。ただ、本作のライヴでもすでに『ハーヴェスト』の“オールド・マン”は登場していて、これがまた名演になっている。曲によってはピアノかギターの弾き語りの使い分けをしているが、“オールド・マン”や“ブリング・ユー・ダウン”のギターの響きといい、あるいは“アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ”のピアノの響きといい、レコーディングのクオリティが驚異的に素晴らしいものになっていて、息遣いまで伝わってくるこの近さが堪らない。なお、『~ゴールド・ラッシュ』以外ではソロ2枚目、『渚にて』、バッファロー・スプリングフィールド、アルバム未収録曲が取り上げられている。(高見展)
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