魂を売り渡さずにパンクをやる。今、それがどんなに難しいことかは言うまでもない。ポップ・パンクが主流を占めるようになって以降は、「ファンのために」「ファンの目線で」といったエクスキューズが横行し、業界…
異様なまでの耳ざわりのよさと、生温かさと、それでいて刺々しくて痛々しいボーカル、そして音がやんだ瞬間に夢幻のごとくすべてが消え失せてしまうような儚さ。言ってしまえば、この世のすべてに失望して、ひたす…
フレーミング・リップスの新作。と事前に聞かされなければ、おそらく一聴には誰もそうだと気づかないのではないか。いや、たとえ聞かされたとしても俄かには信じ難いかもしれない。リップスといえば、あのカラフル…
最高にポップでキャッチーな音楽と、どこまでもアメリカンな笑いを提供するボウリング・フォー・スープが、「パーティしちゃってゴメンナサイ」とこれまた期待を裏切らない新作を作り上げた。今年で結成15周年、彼…
フライング・ロータスによる昨年の傑作アルバム『Los Angeles』からは、外部プロデューサーが多数リミキサーとして参加した「L.A. EP」シリーズが12インチで3作リリースされたのだが、これが需要にまったく追いつ…
バカテク・アコギのSSWとしてデビュー直後から話題となっていたニュートン・フォークナーの2作目。昨年のインタビューで、前作『ハンド・ビルト・バイ・ロボッツ(ロボットによる手作り)』のタイトルは機械で作…
ビッグ・ピンクに関してはデビューEP時から感じていることがあって、それはこのデュオがたとえばMGMTのように画期的であると誤解されているのではないか、ということだ。“ドミノズ”や“トゥー・ヤング・トゥ・…
まさかのビースティー・ボーイズ“Ch-Check It Out”を丸々サビで引用(!)する1曲目から、死んだ自分がかつての恋人を霊として見守る“5.5.5st”まで全11曲、たったの38分。ハードコア・パンクばりに突っ走るミ…
ロック・バンドがその音で「世界」を表現することは、実はそう難しいことではない。それこそ四畳半の自宅で書き綴ったありきたりな日常も、退屈な毎日を打破する(と思い込んでいる)歪んだギター・サウンドも、そ…
新境地。新曲“愛でぬりつぶせ”は誤解を恐れずに言えば、The Birthday史上最もポップでキャッチーで、愛と優しさに満ちた曲だ。そして前シングル“涙がこぼれそう”で彼らが描いた「俺」と「あの娘」の、言ってし…
ロックの持つ重要な力学の一つが一発逆転だろう。大体、聴くほうもやるほうもロックなんてものに思い入れを持つのは日常生活に収まりきらないなにかしらの感情を抱いているからなわけで、ということは社会生活に向…
最初に鳴らされた一音が、彼らが戻ってきたことを端的に告げる。ベスト・コンピレーションなどはあったが、オリジナル・アルバムとしては2003年の『100th Window』以来となる新作を来年リリースするマッシヴ・アタ…
すでにアルバムも昨年リリースされているし、「チェアリフトの曲はiPod nanoのCMで起用され云々」という話を持ち出すことすら気恥ずかしいくらいのタイミングではあるが、彼らのUSメジャー契約を受け、そのア…
プレイボタンを押して、1曲目のイントロが流れてきた時点で大切な何かを掘り起こされたような気持ちになる。09年の現在にこんなにもアノラックでネオアコなギター・ロックが鳴らされるとは。そして、それを鳴らし…
先頃ジョージ・ハリソンへのトリビュートEPを発表したジム・ジェームス(マイ・モーニング・ジャケット)、シー&ヒムとしての活動でも知られるM・ウォード、そしてブライト・アイズの顔コナー・オバーストと、…
今年1月から3月にかけて行われた初のホール・ツアー……というか、アルバム『ワールド ワールド ワールド』とミニアルバム『未だ見ぬ明日に』を発売し、『NANO-MUGEN FES.』を開催し、さらにアルバム『サーフ ブ…
オウガの音楽は、まるで子供の頃は見えていた、自分にしか見えない友達みたい。ときには妖精のように可愛らしく、ときには小鬼のように油断ならない、ときには自分の分身みたいに近くて遠い、そして遠くて近い存在…
結成以来、毎年アルバムを1枚出して全国ツアーを回って、という実は律儀なペースを崩さないザ・クロマニヨンズの、これが今年初のシングル。70年代の女性ロッカー、スージー・クアトロの曲名を拝借したとおぼしき…
『PARADISE BLUE』からアルバム・ツアー、ヨーロッパ公演、巨大フェス転戦、そしてトーキョースカジャンボリーと続いてきた09年上半期スカパラ劇場。とりあえずその中間レポートという感じで流れ出すのがこの“Kin…
ROCKIN'ON JAPAN2009年10月号の巻頭特集で「奇跡の再始動」以降をばっちり総括しているのとは裏腹に、「総括」とか「位置づけ」とか肩肘張ろうとする者(僕もだ)を軽やかにいなしてみせる、始動第2弾シングルにし…
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