「ギターは私にとって兄弟みたいなもの」 シンガーソングライター・Anly、音楽との出会いと初のアルバム『anly one』を語る(2)

和むような、心癒せるような曲も入れたかった

――『anly one』にはいろんな時期に制作された曲が収録されていますが、どのような1枚にしたいと思っていました?

「ロックとかブルースとか、私の原点も反映されているアルバムであると同時に、伊江島の風も感じられるようなものにしたいと思っていました」

――穏やかな風が吹いてくるような感触が、様々な曲に広がっていますよね。“だから”“レモンティー”“Come back”は、特にそういう味わいを感じます。

「和むような、心癒せるような曲も入れたかったんです。『島でおじい、おばあにCDを渡す時にびっくりしないような曲もいれたい』というのもあったんですけど(笑)。ジャンルにこだわらない部分を出したいというのも大きかったです」

――“レモンティー”は、聴いていると、とても落ち着きます。

「この曲は、ドラムやベースやエレキギターも全部私が演奏しているんです。ポール・マッカートニーが『宅録しました』みたいなアルバムを作ったことがありますけど、そういう雰囲気でやりたくて。イメージをアレンジャーさんにお伝えしたら、『全部自分で演奏してみたら?』とおっしゃったので、挑戦してみました。ぎこちない演奏ならではのウッディーな感じが出ていると思います。ドラムはスタジオのお兄さんに顔を覚えられるくらい練習しました。スタジオに行くと、私が何も言わないうちに『2スタです』と(笑)。初めてベースを触ったことでベースの重要性を感じましたし、楽器それぞれの特性と面白さを教えてくれた曲でもあります」

――もともとAnlyさんはアコースティックな作風が色濃かったですけど、エネルギッシュなバンドサウンドもどんどん生み出すようになっていますね。

「バンド編成でライブをやるようになったというのも大きいです。例えば“EMERGENCY”は、私の原点である60年代のロックのような雰囲気のバンドサウンドですけど、新しい要素もどんどん吸収していきたいと思っています」

――“カラノココロ”は、現代的な要素が入っていますね。ケルトミュージック的な透明感や、ラップやレゲエ的な要素も入っていて、すごくミクスチャーな曲という印象です。

「おっしゃる通り、すごくいろんな要素がミックスされています。例えばラップっぽいのは、エド・シーランからの影響ですね。ストリングの動きはケルトっぽいんですけど、聴き方の角度を変えると和的な雰囲気もあるんです。聴く度にいろんな印象があって、テンションを上げてくれる曲でもあります」

――『NARUTO-ナルト-疾風伝』のオープニングテーマですし、新しいリスナーとの出会いにも繋がったのでは?

「はい。『NARUTO』のアニメの最後のオープニングテーマだったんですけど、『この曲で良かった』という感想も頂いて、とても嬉しかったです」

――オープニングテーマを書くにあたって、原作コミックを全部読んで、すごくハマったんですよね?

「一気に全部読みましたから。小説版も読みました。もはや完全にマニアです。語りだしたら止まらなくなっちゃいそうなんですけど(笑)」

写真のアルバムのように、私の過ごしてきた日々が表れたものになった

――バンドサウンドに関しては“FIRE”が強力ですね。

「『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』の主題歌のお話を頂いた時に、“太陽に笑え”以外にも作ってみようと思って生まれた5曲くらいの内のひとつです。今までと違う手法に挑戦したくて、読んだ本からインスパイアを受けて作るというやり方をしてみました。」

――“Enjoy”は渋いフィーリングのバンドサウンドを堪能しました。アコギの音がすごく気持ちいいです。

「この曲はただただエンジョイの曲です。レコーディングの時に『盛り上がってるかあ~!』とか言いながらやっていましたから。エンジニアさんの超低いテンションの『うぇーい』っていう声が返ってきましたが(笑)。ライブで演奏して、お客さんからハイテンションな声を返して頂くのを楽しみにしています」

――あとガブリエル・アプリンとの“Don’t give it up!”とか、スキマスイッチとの“この闇を照らす光のむこうに”とか、コラボレーションもメジャーデビューしてからの大切な経験ですね。

「そうですね。“Don’t give it up!”は、私にとって貴重な経験になりました。そして、“この闇を照らす光のむこうに”は、大きなターニングポイントになったと思っています。まだ漠然とはしているんですけど『こういうアーティストになりたい』という何となくのイメージを持てるきっかけを作ってくれた曲です。スキマスイッチさんと曲作りの仕方や歌に対する向き合い方とかについていろいろお話をさせて頂いて、悩んでいたこととかがどんどん解消されていったんです」

――これだけ多彩なアルバムが完成した今、どんなことを感じます?

「この1年半くらいでいろんな音楽に出会って来たんだなというのを感じます。それがこのアルバムに出ていますね。本当の写真のアルバムのように、私の過ごしてきた日々が表れたものになったと思います」

――悩むこともたくさんあると思いますけど、音楽活動をすごく楽しんでいますよね?

「はい。ギターももっと上手くなりたいです。特にエレキはもっと練習したいと思っています。最近、音を作るのが楽しくなってきていて、ループペダルも楽しいんですよ」

――ループペダルを使って演奏するのは、ライブの見せ場のひとつになっていますよね。

「ループペダルは、エド・シーランの影響なんですよ。上手くいかないこともあるんですけど、それもライブならではのものとして考えています」

――ライブに関しては、6月にツアーがありますね。

「初めてのツアーです。沖縄でもやりますし、ワクワクしています。バンド編成で沖縄でやるのは初めてなんですよ。やっと沖縄のみんなに『東京で頑張っていて、沖縄でもどんどんやってくよ!』って見せられるのが嬉しいです。あと、フェスもどんどん出られたらいいなと思っています。ロックの曲を作る時はフェスをイメージすることが多いので、実際のステージでやるのを楽しみにしています」

提供:ソニー・ミュージックレーベルズ

企画・制作:RO69編集部

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