2014年1月に3年ぶりの待望の来日公演を控えるMGMT。彼らは2008年のサマーソニックでの初来日を皮切りに過去4回の来日を経験しているが、その4回のライヴすべてが当時のバンドのコンディションを如実に反映し、MGMTの音楽の変遷そのものとリンクしているのが面白い。

そもそもアンドリュー・ヴァンウィンガーデンとベン・ゴールドワッサーの2人の宅録ユニットとしてスタートしたMGMTは、ライヴ・バンドとしては究極のアマチュアだったと言っていい。例えばデビュー・アルバム『オラキュラー・スペクタキュラー』当初のパフォーマンスは、彼らがベッドルームで繰り広げていた実験を無理やりステージに乗せたようなちぐはぐな演奏の中で、DIYアンセムの"Kids"のようなナンバーがどこかシニカルかつ非現実的に響く、というものだった。しかしそのスタイルは言わば「一発芸」のようなものでもあって、彼らはよりタフでリアルなバンドの実像を築くべく2009年以降は5人編成のオーソドックスなバンドとしての鍛錬を積んでいった。そこでフィジカルなバンドの筋力アップはダーク&ディープな一作となった『コングラチュレイションズ』のカオティックなポップを鳴らす上で大きな役割を果たしていった。

そして、そこからさらにもう一歩、最新作『MGMT』を経たMGMTがライヴの場で目指すは恐らくイマジネーションを解き放つことなのではないか。デビュー作のライヴでアマチュアイズムと言う名のインディ純血の精神を体現していたMGMTは、『コングラチュレイションズ』のライヴでまず肉体を自由にし、そして『MGMT』ではマインドを自由にしようとしている。具体的には、下記のコメントでベンも語っているように、今回のツアーはヴィジュアル・イメージを含むより総合的なアート・フォームになっているようだ。 "Your Life Is a Lie"ではシュールな巨大カウベルも登場し、不思議の国のアリスの世界に迷い込んだような歪んだファンタジー、すなわちサイケデリックの異界がステージには広がっていくはずだ。来日公演応援特集の後編となる今回は、ライヴについてのベン・ゴールドワッサーの発言をお送りする。MGMTの最新チャレンジ、見逃さないでほしい。

>>最新作『MGMT』の全曲解説インタヴュー【前編】はこちら

MGMT / エムジーエムティー

アンドリュー・ヴァンウィンガーデン(Vo,G)ベン・ゴールドワッサー(Key,Programming)ジェームス・リチャードソン(G)マット・アスティ(B)ウィル・バーマン(Dr)
NY・ブルックリンを拠点に活動を続けるMGMTはアンドリュー・ヴァンウィンガーデンとベン・ゴールドワッサーの2人を中心に結成。2008年のデビュー・アルバム『オラキュラー・スペクタキュラー』とヒット・アンセム"Kids"によって一気にブレイクし、2000年代USオルタナティヴを象徴するアイコンとなった。その後サーフィンと自身の名声をテーマにしたセカンド・アルバム『コングラチュレイションズ』(2010)を経て、初のセルフ・タイトル作となる最新アルバム『MGMT』を今年9月にリリース。2014年1月には来日ツアーを控えている。
――『MGMT』のリリース以降、ヨーロッパを回り、現在はアメリカ、そして年明けにはいよいよ日本とオセアニアと、まさに今あなた達はツアーの真っ最中ですよね。手ごたえはいかがですか?
「かなり調子いい。新曲がいい感じで古い曲に溶け込んで、3枚のアルバムの混ざり具合もいいと思う。特に新作は入り込むまでに少し時間がかかる作品だと思うし、聴く人のなかでゆっくり育つアルバムだと思うから、ライヴがいいきっかけになってるというか、前の曲と一緒に聴けば、そんな狂ったようにめちゃくちゃ変化したわけじゃないってことが分かると思う」
――来日公演は3年ぶりとなります。前回は2011年2月、『コングラチュレイションズ』を引っ提げてのツアーでした。あの時の記憶を辿ってみると、あなたたちは5人組の普通の、「ロック・バンド」の力学と言うかダイナミズムを獲得しようとしていた時期のように思います。対して今はどういうモードですか?
「いや、今もロック・バンド的な構成というのは基本的に変わってないし、ライヴでのバンド・サウンド感はもっと出てると思う。あと、前回からの変化で言うと、最近ではヴィジュアルがかなりかっこよくなってる。映像のアレハンドロが音楽に合わせてライヴでヴィジュアルを作ってくれてて、それもすごく面白いから楽しいと思うよ」
――たとえば"Kids"という曲はあなた達にとって踏み絵のようになっていた時期もありました。批評的に、客観的に演ることを強いられるというか。でも、『MGMT』という再・自己認識のアルバムを完成させたことで、あなた達にとって「過去」の曲が持つ意味は変わったんじゃないですか?
「というかまず、そのへんの曲をライヴで演奏するのは僕達的には楽しいよ。なかには10年以上も前に書いた曲もあるから、今の曲がその頃書いたもののスタイルと違うのは当たり前なんだ。でも本当に、ライヴでやるのはすごい楽しい。それにファースト・アルバムのファンの人達が今もライヴに来てくれるのはすごく嬉しいことだし、新しいやつにピンと来てない人がライヴを観たあとにちょっと違う印象を持って帰ったりすることもあるから、そういうのも楽しいんだよね」
――過去4回の来日で、日本でのライヴ、旅、ハプニング、なんでもいいんですが、あらゆる経験の中で忘れられない日本での出来事があったら教えてください。
「え〜と何だろう……ほとんどどれも楽しかったからなぁ。どこに行くのか決めないでただ歩き回ったりするだけでも、東京とか大阪には見るべきものがたくさんあるから面白かったしね。とにかくものすごく楽しい時間を過ごした。大阪城にも2回行ったし(笑)」
――では最後にあなた達との再会を楽しみにしている日本のファンにメッセージを。
「僕達も超楽しみにしてるし、早く日本に行きたいよ」
●大阪
2014年1月8日(水) なんばHatch
OPEN 18:00/START 19:00
サポート・アクト:MELT-BANANA
TICKET ¥6,500(1Fオールスタンディング・2F指定・税込・別途1ドリンク代)

●名古屋
2014年1月9日(木) 名古屋ダイヤモンドホール
OPEN 18:00/START 19:00
サポート・アクト:MELT-BANANA
TICKET ¥6,500(オールスタンディング・税込・別途1ドリンク代)

●東京
2014年1月11日(土) 新木場スタジオコースト
OPEN 17:00/START 18:00
サポート・アクト:MELT-BANANA
TICKET ¥6,500(オールスタンディング・税込・別途1ドリンク代)

更なる公演の詳細は以下のサイトで御確認ください。
http://www.creativeman.co.jp/artist/2014/01mgmt/

リリース情報

MGMT『MGMT』
SICP-3884 / 9月18日発売

1. Alien Days
2. Cool Song No.2
3. Mystery Disease
4. Introspection
5. Your Life Is a Lie
6. A Good Sadness
7. Astro-Mancy
8. I Love You Too, Death
9. Plenty Of Girls In the Sea
10.An Orphan Of Fortune
11.A GOOD Sadness (μ-Ziq Remix)

提供:クリエイティブマンプロダクション

企画・制作:RO69編集部

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