ウェルカムバックKen Yokoyama! 超ド級の新作に至るまでのすべてを語ったインタビュー

ウェルカムバックKen Yokoyama! 超ド級の新作に至るまでのすべてを語ったインタビュー

ネクストレベルに持っていくくらいのいいものを作ろうとするんだったら1年くらいライブできない(横山)

――なんでそういうことが起きたの?

横山 なんでだろう……今までだったら時間ないし、これでいくしかないみたいな。それも良し悪しだと思うんですけど。だって、そこで悩んでたら、それこそガンズとかみたいにずっとアルバムが出ないじゃないですか。納得いくまで曲作りしようなんて言ったら、やっぱり5年10年かかりますよ。なんだけれども、今はすごく検証とか精査する時間があるんですよね。

――いろんなアーティストに、作品がパワーアップした理由を聞くんだけど、みんなコロナが関係してるって言うんだよ。それは精神的な意味で影響を受けたのかなと思っていたんだけど、やっぱり時間ができたからっていう。キチキチな中でやっていたのとは違う時間感覚でやると、ジャッジもシャープになるし、作品のテンションやクオリティが上がる。理由としては味気ないけど、そういうことなんだなって。

横山 そうなんですよ。味気ないけど、そういうことなんですよ。ネクストレベルに持っていくくらいのいいものを作ろうとするんだったら1年くらいライブできないですね。やっぱライブはしたいですよ。今はできないですけど。だから、この時期ってすごく特別な時期で、今制作してるバンドって相当濃厚な作品出すんじゃないですか?

――それで、これができて。前作『SENTIMENTAL TRASH』は、ロックンロール回帰じゃないけど、ロックとかパンク自体を新鮮に見直してトライした感じだったけど、今作は方向性が全然違いますよね。

横山 そうですね。自分で言っちゃあれだけど、今回はやれることの中でやった感はあるんですよ。本当は自分なりにトライはしてるけれど、聴く人からは些細なことすぎてわからないレベルだと思うんですね。でもやっぱ、Ken Band節みたいなものを持っているのは新作だと思うんですね。

――ただ明らかにパワーアップして、攻撃力がすごく増してると思います。今回のこのメンバーになって初めて、まとまったかたちで新しいサウンドの音源ができあがってどうですか。

 えっくんは今回絶対迷いなく、自信持って叩いたと思うんですよね。それがすごく伝わってくるし、僕も本当に今回は自分のギター弾くことだけに集中して録音できた。

横山 バンドリーダーなんですよ。だから南ちゃんがそう言うってことはそうなんだろうなっていう。

「Ken Bandは圧倒的でなければいけない」っていう哲学も持ってます。それも去年えっくんがすごく悩んだことだと思う(横山)

――えっくんは、この感じのグルーヴで、FACTっていう経歴もあって、さっき歳を聞いたら41歳なんだってね。

英二 あ、そうです。

横山 そう、若手じゃない(笑)。

――そこもいいよね、味わいとして(笑)。Ken Bandってもう歴史も長いじゃないですか、いつの間にか。

横山 16年。

――メンバーも代わってるじゃないですか。でも、Ken Bandはすごくタフに進んでいますよね。このミニアルバムを聴いて、久々にそれをモロに感じた。

 そこが去年ツアーしてての課題だったっていうか。3人は、メンバーも代わったから上を目指していて、どんどん「来い来い!」みたいな感じだったから、苦労してたと思います。

英二 でも、さっき歳の話したけど、もう40代に入って、俺の中では最後のビッグオファー(笑)。ここで結果を出せなかったら、すべてがパアになるんだろうなってくらいの気持ちでやってます。

横山 俺はさっき山崎さんが言った「Ken Bandってすごくタフだよね」ってことを受けてお話ししたいんですけど。まずね、集団ってことに対して哲学があるんですよ。ひとり人が代わったらもう振り出しですよね。過去の実績の上にあぐらかいて、うまくやれないこともないんだろうけど、やっぱりそこに真正面からぶつかっていきたいんですよ。で、それぞれのキャラクターとか技量とかを活かして、うまくはめこむ作業が去年のツアーしながらの苦しみだったのかなって。あと「Ken Bandは圧倒的でなければいけない」っていう哲学も持ってます。それも去年えっくんがすごく悩んだことだと思うし。でも、図らずもライブが止まって、作品に向かったところで、このバンドが噛み合った気がするんです。

 ひとつ、僕ら3人の共通点があって。そこそこ活躍してたバンドが解散して、健さんに拾ってもらってるんですよ。僕はKEMURI、えっくんはFACT、で、Junさんはケントリ(KENZI & THE TRIPS)とかいろいろやってきて。だから健さんに対する感謝の気持ちはめちゃくちゃあるんですよ。やっぱりリーダー、健さんのために100%やるっていう。もちろん4人でひとつのバンドっていうのもあるんですけど、そこがすごく3人は共通していますね。

横山 そんなの言われたことないから照れるじゃん。

――(笑)。体調はもう大丈夫なの?

横山 もうすっかり大丈夫です。太っちゃいましたもん(笑)。

――自らのレーベルから直販みたいなことも新しいトライアルだよね。

横山 そうですね。それはすごくこの時期ならではというか。自粛で怖くて家出られなかった時の経験が活きるんじゃないかなと思って。

――これがうまくいくと、後続の人たちのヒントにもすごくなると思う。お金を稼ぐことを諦めざるを得ないような状況に、ただでさえコロナの前からそうなってきていたのに、さらに追い込まれているから。

横山 ね。コロナは怖いけれど、ここから何か発想できるものっていうのは絶対ありますよね。音楽だけじゃなくても、何をやってる人でも。

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