DADARAYが描く、多彩でリアルなシティポップ進化形。認め合い高め合って作り上げたアルバム『ガーラ』を語る

DADARAYが描く、多彩でリアルなシティポップ進化形。認め合い高め合って作り上げたアルバム『ガーラ』を語る - photo by 小財美香子photo by 小財美香子

お客さんが目の前にいる時って、違う種類のアドレナリンが出てるんじゃないか?っていうぐらい高揚感が違うんです(休日課長)

――この取材の2日前、10月2日にワンマンライブ「時雨になるのよ」が行われたばかりですが。有観客としては約2年ぶりのライブはいかがでした?

REIS 手拍子がある中で入場したり、必ず何か反応とか表情とか――マスクはしてますけど目でわかったりするのって、音楽にとってすごく大きなエッセンスなんだなって。そう思うぐらい、熱量がどんどんライブの中で増していったので。自分の中で貴重な体験だったし、忘れられないライブになりました。

えつこ 私、言うのが恥ずかしいんですけど……終わってから、今もそうなんですけど、かなり腑抜け状態というか(笑)。余韻がすごくて、「終わっちゃったな……」みたいな。コロナ禍でも(無観客)配信ライブは2回やってますけど、有観客でDADARAYのライブができないことに対して、自分も知らないうちにすごくフラストレーションが溜まってたんだなって思いました。なんか、未練たらたらな感じです。別れた恋人にすごい未練があるみたいな……変な気持ちです、今(笑)。

休日課長 お客さんが目の前にいる時に出てくるアドレナリンって違うなって。「アドレナリンB」みたいな、違う種類のアドレナリンが出てるんじゃないか?っていうぐらい、高揚感が違うんですよね。終わったあと、ライブ写真を見てたんですけど――“ダダックス”の前にベースをドバーッと弾いてて、その時にマイクスタンドにベースを擦りつけてるんですけど、すごい体勢してて。全然記憶なくて(笑)。

――今回の『ガーラ』は、フルアルバムとしては前作『DADASTATION』から約4年ぶりになるんですけど。その間にミニアルバム『DADABABY』(2019年)を挟みつつ、昨年には休日課長さんが料理人として世に躍り出るという――。

休日課長 はははは! いや、躍り出てはないですけど。

――レシピ本を刊行して、しかもその著書を原案としたテレビドラマが生まれて、さらにその主題歌をDADARAYが担当するという。やろうと思ってもなかなかやれない展開ですよね。

休日課長 でも本当に、奇跡が重なったというか。本を出して、そのプロモーションを兼ねてJ-WAVEに出させてもらった時に、それをたまたまテレビ大阪のプロデューサーさんが聴いていて。ダメ元で企画書を書いて出したら通っちゃって、みたいな。

――休日課長さんのレシピ本デビューを、おふたりはどう受け止めているんですか?

REIS そもそも出会った時からレシピ本を出してそうな雰囲気だったし(笑)。お料理上手だし、美味しいお店もいっぱい知ってるし、知識がすごくて。むしろ「まだ出してなかったんだ?」くらい。

えつこ 演技もしてたし、エンジニアとかもしてたし。私の中では結構オールマイティな人っていうイメージがあって、器用にできる方だと思うので。料理もその一環でやってるから……今後もまたいろいろ増えるんじゃないですかね?

――まだ開けてない引き出しがある?

えつこ あるでしょ?

REIS きっとあるよ。

休日課長 もうないっすよ!(笑)でも、本当にみなさんのおかげというか。レシピ本は編集者の方とか、関わってくれた方のおかげだし。ドラマのチームもそうだし。で、“Ordinary days”がすごくハマって。あの曲から始まるっていうのは、ドラマにとっても影響が大きかったと思うんで。

「英語のラップがほしいんだよね」ってえっちゃんのアイデアで。できるかどうかわからないけど、やってみる!って(REIS)

――その“Ordinary days”は作曲にえつこさん、作詞にREISさんが参加していますね。

えつこ まあ、メロディは川谷くんが考えてるんですけど。参考曲が数曲送られてきて「こういうイメージがいい。でもまあ基本は任せるよ」みたいな感じで投げてくれて。で、夜中にメロディの破片みたいなものが何個も――アカペラで、お風呂で歌ってるみたいな感じの、リバーブがかかったボイスメモが送られてきて(笑)。「これを組み合わせてやってください」っていう感じで、そこからオケを作っていくんですけど。ドラマのプロットとかもいただいていて、課長のキャラクターもある程度は知ってるんで。妄想と日常の狭間を行き来する感じを、楽曲で出したいなっていうのはありました。

――歌詞には英語のラップも入っていますね。

REIS アレンジをえっちゃん(えつこ)がしてくれてるんですけど、(ラップは)「ここらへんからここらへんまで、英語のラップがほしいんだよね」ってえっちゃんのアイデアで。でも私、英語のラップ書いたことなくて。ぶっちゃけ本当にできるかどうかわからないけど、やってみる!って(笑)。

えつこ 結構しっちゃかめっちゃかな感じにしたくて、あそこのゾーンは(笑)。課長にもめちゃめちゃベース弾き倒してもらって。ドラムも、私のデモでは本来あんなに難しくしてなかったんですよ。でも、みんなで集まった時に、川谷くんがよくわかんないドラムフレーズにして――。

休日課長・REIS (笑)。

えつこ カオスな感じになってるし。そのうえで、REISの英語のラップっていう。DADARAYでも今までなかったし――REISは英語の発音きれいだからハマるんじゃないかな?って思ったら、もうバッチリでございました!

REIS よかった! できてよかったです、ほんと。

休日課長 たぶんあのパートがないと、最後のサビの「グッと感」が全然違ったと思いますね。実際ライブでやってても、あの展開があることで、最後のサビのキャッチーさが際立ってるのかなって。

次のページDADARAYの音楽って、いい意味でイモっぽい部分もあるというか。キメキメにお洒落なんじゃなくて、ちょっと隙がある(えつこ)
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