あいみょん、4枚目の傑作『瞳へ落ちるよレコード』はどこがどう最高アルバムなのか? 最新インタビュー&セルフライナーノーツで迫る

あいみょん、4枚目の傑作『瞳へ落ちるよレコード』はどこがどう最高アルバムなのか? 最新インタビュー&セルフライナーノーツで迫る

あいみょん自らが語る新曲解説――アルバムのための7曲に込めたもの


“姿”

「この曲はきっかけがめっちゃしょうもなくて。漢字一文字の曲を作りたい、それだけです。私は、“君はロックを聴かない”“愛を伝えたいだとか”“生きていたんだよな”とか、いつも楽曲のタイトルが長すぎるので、漢字一文字の曲が欲しいなって思って。

《悲しかったりする》とか《喧嘩》とか歌ってはいるんですけど、全体像としては幸せな姿を描いていて。私、そういう楽曲ってあんまりなくって。ただただ《幸せ》ってセリフがAメロに入るんですけど、《こんなにも幸せ》って歌った“ハルノヒ”以来、こういう曲を出しました。だからこっぱずかしいです」

“君のこゝろ”

「この曲と“インタビュー”は、岡山でレコーディングして。高校生が初めてインディーズでCDを作るみたいな感覚でした。いつもお世話になっているエンジニアさんが、毎回岡山から東京に来てくださっているんですけど、今回逆に私たちが岡山のエンジニアさんのスタジオに行きましょうってなって、3日間、ほんま遊びながら作った。終わったら焼肉行きましょうね!みたいな(笑)。これがものづくり、これぞものづくり、作品を生み出すことやなって現場でした。

よかったら音源逆再生してみてください。なんか言うてます。ヒントをいつも言っているんですけど、《君の闇の門を取って/優しい音だけの世界で/歌ってあげたい》の歌詞は、もともと違ったんですよ。逆再生してもらったら、そこに元の歌詞が出てきます。アプリとかですぐできちゃいそう」

“3636”

「私のアルバムのイチ推しです。隠しきれない、私の生活臭が表れてますね。宅配ボックスに鍵を預けていたんですけど、その宅配ボックスが、開かなくなった時があって。それがきっかけです。3636って、私の誕生日なんですけど。ある時、今日も絶対に暗証番号3636かなって思って入力したら、開かなくって。たまたま相手が設定をミスっただけだったんですけど、その瞬間に、ほんまもう職業病ですよね、あ、相手に心を閉ざされてしまったと思って作った曲です。別に、喧嘩とかも何もしていないんです。ただ、宅配ボックスが開かなくなった、イコール、相手に心を閉ざされてしまった、私のこと嫌になったのかな、何がダメやったんかな、っていう発想、妄想から生まれた曲っていう。

この曲を書いた時は、やりきった!って感じでした(笑)。ありがとう宅配ボックス!って。あの時に宅配ボックスが開かなかった出来事がなかったら書けなかった曲で。自分の生活があるからこそ、楽曲って生まれるなって、改めて思わされる出来事でしたね」

“強くなっちゃったんだ、ブルー”

「これは、いつものように、ギター持って、コード弾いたら、♪耳元で、って出てきたので、その流れで作っただけで。やっぱり、一言目が重要なんですよね。で、途中で、サビの♪ジャックな心、の《ジャック》っていう言葉が出てきた時に、自分があんまり使ったことない変な言葉をいっぱい使っていこうって思って。だから、2Aからあんまり普段使わん言葉の《一期一会》とか《アングラ》とか《逢瀬》とか、めっちゃ増えてる(笑)。

捻くれもんなんですよ、めっちゃめちゃ。そんな《「君は魅力的なんだよ」》って言われたら、ありがとう、でいいものを、それって《手に入るレベルの魅力ってこと》って、揚げ足取りする(笑)。大人になって、そういう返しができるようになった自分もいますし、だからかな? 《耳元で囁かれる》って、自分の中から出てきた瞬間に、主人公も、置かれている状況も、全部がすぐ決まりました。ああ、女性の歌になるな、不倫の曲やなと。一行目で、一瞬でキャラクターが決まる楽曲もありますね」

“ペルソナの記憶”

「“裸の心”を出したあたり、2020年ぐらいのテレビとか雑誌のインタビューで、最近どんな楽曲を作ってるんですか?って聞かれた時に、オムライスを作っていて、ケチャップがTシャツにバーンとついて曲できたんですよって言っていたんですよ。だから、2年越しに答え合わせしておこうって。ほんまにそのままですね。オムライス作って、ケチャップカスカスやのにプシュッてやったらパシャッとかかって、オムライスから返り血を浴びた!って。あ、失恋の曲になるっていう感じでした。変な発想ですけど。オムライスにケチャップをかける時って、一瞬いろいろよぎりません? 普通にニョロニョロってやればいいのに、ひとりで暮らしていても、彼氏がいなくても『おかえり』とか、自分で書いちゃいません? でも、その時は、そんなこと何も考えずに、プシュッてやっちゃったんです。で、ケチャップが弾け飛んできて、おお!みたいな。これ、もし彼氏とかいたら、新しいケチャップをちゃんと買ってるはずだし、何か書こうとしてたはずだし。だから、私って今恋愛をしてないんやって、オムライスの返り血を浴びて気づいた、ようやく恋の終わりに気づいたっていう曲に書き換えたんです」

“神秘の領域へ”

「これ、アルバムの(新曲の)中ではいちばん古いです。2018年です。まあ、お得意の若気の至りソング。(作った時のことは)覚えていなくて。やっぱり、少年の心が欲しいんでしょうね。マジで少年の感じるエロをわかりたい、っていう気持ちは未だにあります。私が女性目線のこういう楽曲を書く時は、いやらしい方向なんです。でも、男性、少年目線では、エロになるんです。

2018年ですもんね。(マネージャーに)酔っ払って遅刻とかしたの、そのへんじゃないですか? それっきり、そういうことはないですよ(笑)。まあ、それなりに失敗してきたから、若気の至りって言ってたんじゃないんですかね。違ったらすみません。また別の取材で、違うことを言ってるかもしれない(笑)。単純なんで、若気の至りってなんやろって思った時、パンツ被るとかブラジャー被るとか、そういう幼稚なことしか出てこなかったと思いますね。保健の教科書に載せてほしいです。“神秘の領域へ”(笑)」

“インタビュー”

「結構新しい曲なんですけど、ちょっと自分の中で腹立つ出来事があって。どうやって作ったか思い出せなかったんですけど、(スタッフに)私とのメールのやり取りを見返してもらったら、めちゃ怒ってて、10分で作りましたみたいなことを送っていて。この曲、10分でできたらしいです(笑)。

怒ったというか、悔しかった感じで。書いている感覚は、デビュー前にも経験したような、みんなに馬鹿にされている、相手にされていない、誰も聴いてない。そういう時期を過ごした自覚があって。でも、こんなことじゃへこたれない。そうやっていろいろ考えてできた曲です。

この曲、アルバムに入れようとは私は思っていなかったんですけど、ディレクターから『めっちゃいいやん』『なんだこれ』みたいに言われて。私はその時は怒っていたので、『でしょ?』みたいな。それで『これはもうアルバム行きだな』『ですね』って(笑)。もう、怒りに任せて入れようという感じでした。で、そのあとに“愛を知るまでは”で、希望を持って終わりましょうと」



次のページMV・リリース・ツアー情報
【JAPAN最新号】あいみょん、4枚目の傑作『瞳へ落ちるよレコード』はどこがどう最高アルバムなのか? あいみょんとともに考える2時間全掲載ロングインタビュー!
力作で力作で、売りたあてしゃあないです。 ていうか、完成したものがすごくいいので、手に取って触ってほしい、見てほしいっていう気持ちがすごくある 現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号にあいみょんが登場! 4枚目の傑作『瞳へ落ちるよレコード』はどこがどう最高アル…
【JAPAN最新号】あいみょん、4枚目の傑作『瞳へ落ちるよレコード』はどこがどう最高アルバムなのか? あいみょんとともに考える2時間全掲載ロングインタビュー!
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする