【インタビュー】め組・菅原達也、新たに芽生えたバンドマンとしての「自覚」と「葛藤」――ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023出演直前の心境を語る

【インタビュー】め組・菅原達也、新たに芽生えたバンドマンとしての「自覚」と「葛藤」――ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023出演直前の心境を語る

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023では、進化したライブをする努力はするし、自信もある


――メンバーに対してのスタンスが変わったっていう話をしてくれたけど、お客さんに対してのスタンスも変わったなって思った。実はそっちのほうが大きい。

「なるほど」

――め組の曲は、菅原達也の世界観、才能がほとばしっていて。楽曲作りとしてはそれでいいんですよ。でもそれだけじゃなく「ステージの上からなんとしてでも届けよう!」っていう第二の努力が必要なのに、そこに関して、力不足なところがあったと思うんだよね。

「しかるべきことはわかってた気がするんですけど、やり方がいまいちわかんなかったんですよね。別に逃げているわけじゃないし、努力していないわけでもないんです。わからないから、わからないなりにいろんなライブを観て、どういうマインドでやるべきかっていうのは勉強させてもらいました。で、そのマインドが何かって言ったら、とにかくお客さんを幸せにすることかなと。それが重要なポイントだと思うんです」

――お客さんを幸せにしようと、一生懸命サービスしているのは見える。でも「ここでライブをすることを本当に愛してるんだな!」っていう感じまで行っていなかった。

「わかります……本当は、そういう自分の姿とか、その瞬間瞬間を、すごく愛してやりたいじゃないですか。でも人の顔を気にしてしまうというか。メンバーの話に通ずるところがあるんですけど、お客さんに対しても、ライブの最中に思ったりすることがあるんですよね。そこはぬぐい切れなくって。結局僕のコミュニケーションが下手だっていうのがあるんですけど。すごい真顔で聴いていたりしたら『あれ、つまんないのかな?』って思っちゃう。でも、実はそうじゃないじゃないですか。僕が真心込めてやってることを真摯に受け止めようとしてくれているのに、勝手に俺がすれ違っちゃって、背中に汗かいたりするんですよね(笑)。だから、そういったステージ上の自分、恍惚としている自分を出すために、言葉は平たくなっちゃいますけど、サービスをするというか。お客さんが幸せいっぱいな顔をしてる、その中にいる自分なら、やっと愛せるんじゃないかなって妄想をしています。それが前回のライブでしたね」

【インタビュー】め組・菅原達也、新たに芽生えたバンドマンとしての「自覚」と「葛藤」――ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023出演直前の心境を語る

――まだ過渡期なんだね。

「祭りの櫓ができて、提灯つけるかとか、そういう状況ですね(笑)」

――でも、それであそこまでライブの質が向上したんだったら、素晴らしいことだと思う。

「お客さんとの相乗効果でよくなっているっていうのは、同時進行で思っているので。コツ掴みかけてる!って感じでした。お客さんの表情も、いいふうに解釈できるようになってきたし。伸びしろという意味ではいいですけど(笑)。もっとよくなっていくと思います」

――Star loungeでのライブをさらにアップデートさせたようなステージをROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023でも観られる?

「そうですね。進化したものにする努力はしますし、自信もあります。ROCK IN JAPANも何度か出させてもらっているんで、更新したいですし」

――今日、なんでバンドの姿勢とか、菅原くんの表現者としての姿勢の話をしたかっていうと、インタビューにあたって改めて過去の曲を聴いてみたら、名曲、多すぎ。

「おお! やった! ありがとうございます」

――でも、宝の持ち腐れというか。一生懸命、丹精込めて作った曲なのに、すべてが何百万回も聴かれているかっていうと、そんなことないし。曲がかわいそうだなと。

「そうですねえ……曲のことを考えると泣きそうになりますね(笑)。それでいいのか?って言われたら『うーん、曲はもう完成しているしな』って思っちゃうんですけど。曲を擬人化して考えると、ウルっときますね」

――曲だけじゃなく、ライブも擬人化して愛すればいいんだよ。

「なるほど! そういうことじゃないすか? 擬人化してやればいいんだ」

――ほんといい曲多いから。今の若い人は、ジャンルとか世代とか関係なく、いい曲だったら聴くじゃない。め組は、そういう時代にふさわしいバンドだと思うから。

「ありがとうございます、頑張ります」


企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部
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