【インタビュー】ネクライトーキー久しぶりの新作『踊れ!ランバダ』、特濃の4曲に詰め込まれたバンドの自由

【インタビュー】ネクライトーキー久しぶりの新作『踊れ!ランバダ』、特濃の4曲に詰め込まれたバンドの自由 - Photo by 垂水佳菜Photo by 垂水佳菜

「ビートルズだったらもうちょっとルーズにやるよね」みたいな(藤田)

――(笑)。一方、“優しくなれたなら”とか“あべこべ”はどちらかと言うとネクライトーキーの王道っていう感じですよね。

朝日 そうですね。とくに“優しくなれたなら”とかは1曲くらい手癖で作ってもいいなっていう感じがあって。気楽にメロディを書こうっていう感じで作った曲ですね。メロディに関しては迷うことはそんなになかった。間奏が本当にこのよくわからないやつでいいのかっていう迷いはありましたけど。

――そうなんだ(笑)。あれがめっちゃいいなって思ったんですけど。あの間奏があることによって手癖を超越していく感じがある。

朝日 フックがあるというか。楽しい曲になってますね。

カズマ・タケイ(Dr) “優しくなれたなら”とかはかなりすんなりできた印象がありますね。“ランバダ〜”に比べたらサクッとできた感じでしたね。

――“あべこべ”はどうですか?

朝日 “あべこべ”はシンプルな曲ですよね。

――歌詞に急にDr.DOWNERとかGRASAM ANIMALの名前が出てくるんだけど。

朝日 身近に感じて、すごく好きで聴いてる音楽をなんとなく入れようっていうのでこの2バンドが出てきたんですけど、実は冒頭の《アラバマの唄》というのもニール・ヤングの“アラバマ”のことで、それは中学生ぐらいの頃に聴いていた音楽で、Dr.DOWNERは10年くらい前に聴き始めて、GRASAM ANIMALはそのあとに聴き始めたっていう、なんとなく時系列になるように自分の聴いていた音楽の話をしてるっていう曲なんですよね。バンド名は勝手に出してるんですけど、勝手に名前を使って恥ずかしいものにならないように、いい曲にしようと思っていました。結果としてすごくいい曲になったので、最終的にはこういう曲を作っていたいなっていう感じがしましたね。

――うん。“優しくなれたなら”とかもそうですけど、朝日くんの自分語りみたいなものの角度がまた変わってきている感じがしますよね。鬱屈しているのとはまた違う感じで自分のことを歌い始めている感じがする。

朝日 なんとなく、この曲は長くやりたいなって思ったんで、意図して「歌詞の内容含め歌の気持ちよさを目指そう」って書いてました。メロディの爽やかさに引っ張られた感じもありますけど、歌詞が暗すぎると何十回、何百回も歌えないだろうなと思ったんで。意外と爽やかな風が吹いてますね、この曲は。

――どんよりしないよね。

朝日 悪くないな、みたいな。大人になってきて、なんかいいねって思えるようになってきた。でも“オシャレ大作戦”で若い世代に響いたパンチラインは《二十五を過ぎたら死ぬしかない》っていうすごく尖った歌詞だったので(笑)、そこは難しいバランスだなって思うんですけど。

――でもその衝動性は死んだわけじゃないっていうか、形を変えてある感じもするし。そういう意味でも“今日はカレーの日”は素晴らしいですよ。すごく真っ当に日常を歌ってロックしていて、こういうことをネクライトーキーでできるようになったんだなって思った。

朝日 なんか安心感ありますよね。これは完全に「こういう曲やりたい」って、趣味で作りました。もう何年も前ですけど、一時期ビートルズの“ゲット・バック”のレコーディングのドキュメンタリーをずっと観ていた時期があって、その時から1曲はこういう曲をやりたいっていう思いはずっとあったんですよ。それができて嬉しいっていう曲です(笑)。

藤田 やっぱりめちゃめちゃ気持ちいいですよね。メロディがめちゃめちゃいいじゃないですか。曲作ってる中でもテンポ感だったりでちょっとルーズさを出したいよね、って話をして。「ビートルズだったらもうちょっとルーズにやるよね」みたいな。

中村 これ、仮タイトルが“ビート”だったんですけど、どんなふうに鍵盤入れてほしい?って聞いたら「ビートルズっぽく」って言われて。私、あんまりビートルズを聴いてこなかったんですけど、ビートルズってそんなに細かい音を入れてないから音数は減らそうって思って。だから鍵盤は結構控えめにはしてるんですけど、そこにちょうどギターの音とかもっさの声が入って、ちょっと砕けた感じにまとまったかなって。

私的には今作ってる曲たちのほうが好き。だからこの4曲でお腹いっぱいにならないでねって(中村)

――うん、すごくあるべきところにあるっていう感じがしますよね。ドラムもそうなんだよね。

タケイ そうですね。基本的にネクライトーキーの曲って足し算で作ることが多いんですけど、これはマイナス、マイナスで作っていきました。隙間が多いんで、リズムの気持ちよさとかがすごく肝になるなっていう感じで叩きました。

――ギターの音色とかも結構こだわったんだろうなと思うし。

朝日 乾いた音が録りたくて。わりといい感じに録れて、いいところに収まったなっていう。でもギターソロだけ違うサオで弾いたら、そこだけめちゃくちゃリッチで聴くたびにちょっとびっくりしちゃうんですけど(笑)。「急にみずみずしい!」って。

もっさ ギターで言うと、順番としてはこれが初めてもっさの新しいギター、ファイヤーバードが登場する曲なんです!

――あれ、初めてなの?

もっさ レコーディングではそうですね。“ランバダ・ワンダラン”はいつものムスタングなんですけど。ハムバッカーの音がするというか、これはジャーンって全音で弾くフレーズが多いし、小難しいことをしてないというか、気持ちよさでいこうとなった気がします。

――その感じだよね。ちゃきちゃきと小賢しいことをしてないっていうか。

もっさ もうこれでいいやん、っていう。

――歌もそんな感じだよね。これはたぶん、歌詞もよかったんだと思うんですよね。

もっさ うん、歌詞があんまり遠くないところにいるというか、身近に感じる歌詞だったのかもしれない。

――これがカレーの歌になったのはなんでなんですか?

朝日 なんとなく、曲調が結構渋めなので、普通に書くといつもの淡々と描写していくみたいな歌詞になりすぎると思ったんですよね。だから何かひとつアイコンになるワードがあればいいなっていう。生活感があって、みんな思い浮かべるものが近くて。それがたとえば「お墓」とかだったら暗い曲になるじゃないですか。でも「ぬいぐるみ」だとかわいすぎるみたいな。じゃあ本当にちょうどいいラインはどこだろう?って考えたら「カレーだ」って思ったんですよね。

――カレーっていうのは本当に「普通」の象徴というか、日本人なら誰でも知っているものだと思うから、それを歌えたっていうのはすごく新鮮だし、こういうのもできるんだなってすごく思いました。朝日くんの中のひねくれていない部分がまっすぐ伝わってくる。

朝日 《懐かしい歌をギターで弾くよ》みたいな歌詞って普段書かねえなと思う。ベタですけどね。ベタなよさがある。それもやっぱりカレーのおかげですね。

――この4曲のあとも新曲はバンバン作っているって感じですか?

朝日 今言えることが少なすぎるんですけど、ただ、曲はめっちゃ作ってます。

中村 まだ4曲しか出てないんだと思うよね。しかも私的には、今作ってる、出してない曲たちのほうが好き。

――はははは! 「のほうが」って(笑)。

中村 だからこの4曲でお腹いっぱいにならないでねって。

タケイ カレーのあとにとんかつが出てくる、みたいな。

朝日 それきついな。

藤田 “優しくなれたなら”で《油は二度と食えなかった》って歌ってるけどね(笑)。

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