当時のトレンドと令和のハイブリッドみたいな意識があって、それをみんなで楽しく調理するみたいな感覚でした(Yuji)
──昭和80'sや平成初期のトレンドを再解釈して現代のポップソングに落とし込むというのは、メンバーのみなさんにとっても新鮮な作業だと思うのですが。
Yuji レコーディング時にも、曲ごとに「こういう感じかな」っていう映像というか情景が浮かぶんですよ。“それが恋だと言ってくれ!”とかは時代背景もわかりやすくて、テレビも今とは違う4:3の画面比率だったり、ブラウン管だったり、そういうイメージをKazukiが持ってくるので、それに応える音、そういう雰囲気が出る音をみんなで考えながら作るという感じです。それで、Kazukiがさっき言ったように、僕らはそのときに流行っているものを追いたいという気持ちが強いので、当時のトレンドと令和のハイブリッドみたいな意識があって、それをみんなで楽しく調理するみたいな感覚でしたね。
Mizuki Arataなんかは特にその時代の音楽が好きだし、いろいろリファレンスを持ってきてくれるんですよ。なので、自然とメンバーの中で『こういう曲いいよね』っていろんな発想に広がっていきます。
──今回、KotakemoriさんとArataさんが作詞・作曲した曲が1曲ずつ収録されていますよね。この2曲は、それぞれラブネバの音楽性を広げるものになっていると思います。まず、Kotakemoriさんが作った“メモリーフラッグ”。このハードなギターロックは、まさにKotakemoriさんのルーツという気がします。
Kotakemori ラブネバにはメインコンポーザーとしてIshidaがいるので、Ishidaが作らないであろう曲を作るのがサブコンポーザーである僕らの役割だと思っていて。で、まず、俺たちの曲には“OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT”とか、いわゆる四つ打ちのシティポップ的な曲はすでにあるけれど、スピーディーな四つ打ち曲ってなかったなと思って、その発想に自分のルーツを落とし込んだ楽曲を作ろうと。でも自分のルーツを追っていくだけでは、ただのギターロックになってしまうから、このバンドを組んでからみんなで聴いていたもの──つまりジャミロクワイなんですけど(笑)──を意識して、ベースやドラムのサウンド感なんかを決めていって。
──歌詞は自身の決意を込めた曲のようにも響きます。
Kotakemori この歌詞、実は『遊☆戯☆王』のイメージなんです(笑)。ある日、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の声優として共演されていた津田健次郎さんと風間俊介さんの対談を聞いたんですよ。初めは全然役になりきれないし、1回1回のアフレコは血反吐を吐くほどの熾烈さだったらしいんですけど、それがいつしか、津田さんは海馬瀬人そのもの、風間さんは武藤遊戯そのものと界隈に認知されていく。これって社会人とバンドマンという二面生を持つ自分たちにも通ずるものかもなあと思って。最終的に社会人である俺らとバンドマンである俺らが重なって、それが自分自身になっていけばいいなあって。なので歌詞の端々に『遊☆戯☆王』を感じさせる言葉を使っています。あと僕、「遊戯王カードゲーム」の大会にも出てたんですよね。
──え、ガチじゃないですか。
Kotakemori そうなんです。学生時代、軽音部にいるときには『遊☆戯☆王』の曲をやったりもしたし、なぜか『ドラゴンボール』のフリーザの真似をして踊ったりしてました。そのときのことも歌詞に盛り込んでます(笑)。 “メモリーフラッグ”っていうタイトルも、そこで一緒にやってた西山っていう後輩がつけてくれたんですよ。「西山の名前はどこかのインタビューで出すから、それが報酬ね」って約束していたので、今日言えてよかったです(笑)。
──(笑)。そういう曲に対する思いは、メンバーにも共有しました?
Ishida いや、そこまでは僕らは知らなかったです(笑)。
Kotakemori 『遊☆戯☆王』だっていうのは言いましたけどね。
Yuji うん。だから僕なんかはノリノリで。自分も、家の机の上に(「遊☆戯☆王」のカード)デッキがありますから。曲を受け取って、久しぶりに昔の切り札見て、うわ、かっこいいなあって眺めてました(笑)。
(“挿入歌”は)今までやってきたことのチャンネルがひとつあったとすると、その1個隣のチャンネルに切り替えたもの(Ishida)
──Arataさんが作った曲は“落日々”(らくじつび)。こちらはArataさんならではのR&Bテイスト漂うポップソングですね。
Arata ラブネバのメンバーとして、僕がやりたかったことのひとつを出させてもらいました。メンバーのそれぞれの得意分野を生かすような楽曲を作りたいと思っていたんです。ベースのYujiくんはもともと僕との共通点も多いR&B的な強いグルーヴだったり、ドラムのMizukiさんはパンチの強いビート感だったり、Ishidaくんの歌はスムースに歌い上げる感じだったり。今回はボコーダーを使っているんですけど、声でいろいろ表現するのはKotakemoriさんが得意だったりするので、そういうメンバーの特性を出せる曲にしていきました。
──アルバムラストは“挿入歌”。この曲でラブネバに触れたという人も多かったと思います。これまでにないほど、歌をしっかり聴かせる普遍的なラブソングとなりましたよね。
Ishida 今まで楽曲をリリースしてきて、「もっと多くの人に届けるためにはどうすればいいんだろう」という思いが自分なりにあって。今までやってきたことのチャンネルがひとつあったとすると、今後はその1個隣のチャンネルに切り替えたものも作っていきたいなあという気持ちがあったので、この曲は自分の中では曲も歌詞も、そっちに切り替えて作った気がします。
──わかりやすく言うと、J-POPにフォーカスした曲でもあるなと、感じたりもしましたが。
Ishida ほんとにそうだと思います。ただ、それがなんなのかっていうのは、ちょっと説明できないんですけどね。
──J-POPというと幅広いですしね。ただ、それまでシティポップやR&Bというコアがあったとして、その軸とはまた違った成り立ちの楽曲かなと。
Ishida そうですね。みんなも極めて慎重に、余計なことをしないように演奏してくれています。
Mizuki なんか、俺たちが今まですごい余計なことをしてきたみたいな言い方だけど、それもすべて、あなたが考えてきたものだからね(笑)。
Ishida そうだよね(笑)。でも、自分としてもびっくりなんですけど、“挿入歌”に関しては、「余計なことはしないほうがいいと思う」みたいなことを、みんなのほうから言ってくれたんですよ。
Mizuki 僕らもびっくりしました。今までと雰囲気の違う曲が出てきて。曲名もそうだけど、“挿入歌”って、最初は仮タイトルみたいな感じで捉えていたんですけど、もうそのままいくんだ?って。結果的に、余計な音は削いで、楽曲に集中して聴いてもらえるようなサウンドになったと思います。
Arata 寄り添った感じの歌になったよね。
──このアルバムで、さらにラブネバの存在は広く知られていくようになると思うんですが、あらためて、どんなバンドでありたいと思っていますか?
Arata 今年はリスナーのみなさんにいろいろ発表できることがあって、順に発信していくと思うんですけど、ひとときの盛り上がりじゃなくて、永続的にそのわくわくを見せていけるバンドになりたいですね。
Ishida 今後バンドとして、楽しいときだけじゃなく、うまくいかないときも必ずあると思うんですけど、そのときに僕らの楽曲が聴かれなくても、いつかはその曲が「いいな」と思ってもらえるような、そんな価値ある曲を、1曲でも多く残せたらなっていう思いで続けていきたいです。
Yuji 僕らの音楽ってジャンルレスで、幅広い音楽をやっていけているので、これからもそれを常にアップデートして、いろんな音楽を5人でかけ算しながら楽しんでやっていけたらいいですね。それをいろんなところに届けていって、みんなを巻き込んでいけたら嬉しいなと思います。
First Love is Never Returnedは5月30日発売『ROCKIN'ON JAPAN』7月号のLook Up!コーナーにも登場!
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