Charaのライブは、客席とステージの距離がとても近い。物理的な距離の話ではなく、「Charaがオーディエンス1人1人に向けて発信する力」と「オーディエンスがCharaを求める力」という2つの大きなベクトルが密接に入り交じって、お互いに引き合うような強烈な磁場を発しているのだ。そして、アリーナだろうと3階席の最後方だろうとステージがすぐそこに見えるようなJCBホールという会場は、Charaの音楽――いや「Charaという名のコミュニケーション」には最適の場所だろう。最新アルバム『honey』を引っ提げての全国ツアー、いよいよファイナル公演である。
ドラム=河村“カースケ”智康(Dr)、ベース=Curly Giraffeこと高桑圭、ギター=名越由貴夫&藤田顕、コーラス=加藤哉子、キーボード=キーコこと山崎透、そして鍵盤&マニピュレーター&トランペット&その他もろもろに権藤知彦……という超名手揃いのバンドがステージに姿を現し、1曲目“call me”のグルーヴィーでオーガニックなアンサンブルを叩き出す。
そこへChara登場! 小柄な身体を弾ませくねらせながら「あーーーーーーっ!」という壮絶なシャウトを全身から絞り出すようにぶん回す! 続く“マーマレード”“Junior Sweet”のレゲエ・ビートと、あのハスキーなウィスパー・ボイスでゆったりと会場を包んでいく。MCでも「今日は小さい声でしゃべるから。8割がた聴こえないと思うけど」と話していた通り、前日同様、喉のコンディションはベストではないようだが、それを補って余りある――というか、声だけでなく全身から繰り出すバイブでもって1曲1曲豊かに伝えていこうとするような、気迫と愛情あふれるライブ・パフォーマンスだ。
上にはおっていたコートを脱いだ下には、バレリーナのようなホワイト・パールのドレス。でも、足にはロケンローな厚底編み上げブーツ。長いキャリアを経てなお少女性と衝動を抱え続ける彼女らしいコスチュームだ。「前回のアルバム『UNION』は“愛と調和”がテーマで、今回は“思春期”です! 家帰ってドキドキして、『どうしよう!』みたいになってもらいたいので」とCharaがMCで語ったように、“青いかけら”“そして、僕が届かない”“愛を憶える”“TROPHY”といった『honey』の楽曲群が、20〜30代中心のオーディエンスの体内時計を一気にティーンエイジャーへと巻き戻していく。
Charaがピアノを弾きながら歌った“Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜”の頃には、アリーナから3階席までがほぼ全曲を祈るように歌っている。それくらい、彼女の放つエネルギーは完全にJCBホールの空間を支配しきっていた。そして終盤、“甘い辛い”“泣きだしそう”で聴かせた、背筋が震えるほどの高らかなシャウト! タイトで存在感の強い7人のバンド・サウンドのさらに上を高らかに飛翔するように、その声は響き渡った。
アンコールでは、Chara含め8人全員が電車ごっこ状態で連なって登場。CharaはTシャツにデニムのホット・パンツ姿。ツアーが大団円を迎えようとする中、「終わっちゃうー! 泣くな哉子!」と、本当に涙ぐんでいる加藤哉子に笑いかけるChara。「いろいろあるけど、応援してください!」とオーディエンスに向かってもう一度微笑むと、“ラブラドール”、そして“やさしい気持ち”! 最後は『honey』のレコーディングにも参加したRIZEの金子ノブアキが登場、権藤知彦と並んでタンバリンを叩く一幕も。どこまでもあったかくて澄みきった高揚感で心が満たされた――そんな一夜だった。(高橋智樹)
1.call me
2.マーマレード
3.Junior Sweet
4.世界
5.青いかけら
6.そして、僕が届かない
7.kiss
8.ミルク
9.Tiny Tiny Tiny
10.HAPPY TOY
11.愛を憶える
12.TROPHY
13.Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜
14.月と甘い涙
15.MAHA
16.甘い辛い
17.泣きだしそう
アンコール
18.ラブラドール
19.やさしい気持ち
Chara @ JCBホール
2008.11.16