ステージセットもスクリーンもないシンプルなステージ。そう、今回のツアーは、そのバンド・サウンドにこそ、すべての集中力が注がれる。『at the BLACK HOLE』以降のアルバムに参加しているドラマー、ジョシュ・フリーズ(ガンズ・アンド・ローゼズ、オフスプリング、スティング、ナイン・インチ・ネイルズ等に参加)を迎えた念願のライヴ。
くっきりとした際立った輪郭のリズムによって、楽曲がどんどん研ぎ澄まされ、シンプルなロックンロールとしてのカッコよさが際立っていく。年末の武道館公演でも、ヒット曲とか代表曲というわけでない、過去のなにげない楽曲たちが、新しい息吹をもって鳴らされていたのが印象的だったが、このツアーではさらにそれが加速していた。中でもイエローモンキー初期の“I Love You Baby”や、“トブヨウニ”のカップリングだった“BLOWN UP CHILDREN”は圧倒的だったし、“Pain”や“FOR ME NOW”といったアグレッシヴなロックナンバーは言うまでもなく素晴らしかった。♪好きな歌口ずさむ I’m So Very Excited、♪生きてる音がする I’m So Very Excited、という“WEEKENDER”を聴きながら、本当にそのままだな、まさに生きてる音だな、とわくわくした。
アンコールでは、ライヴをあまりやりたくなかった時期の曲として紹介された“TALI”、そして“CALL ME”を演奏。暗いブラックホールから生まれた曲たちが、最強のバンド・サウンドで鳴らされることもまた、とても感慨深かった。
吉井和哉が自分自身のために本当に鳴らしたかった音。そして、アンコールで思わず叫んだ「俺、みんなをハッピーにするの好き!」というエンターティナーとしての飾りのない想い。それがごく自然に両立していることが、何よりも素晴らしいと思う。さらに、なにかが始まろうとするこの感じ! なにもかもがロックだ。(井上貴子)