syrup16g最後のライヴ。約3時間15分。全33曲。しかも、新曲1曲。それなりに長年このバンドのライヴを観ている身として言わせていただくが、明らかに、間違いなく、あからさまに、sryup16g史上最高のライヴだった。
「トラスなし、ただ床に台を置いただけ」みたいな、異様にシンプルなステージ・セット。ステージ後方まで客席にした会場の使い方。選曲。曲順。全体の構成。そして、あまりにも万感の思いが胸に押し寄せすぎて、それが臨界点を超えちゃったがゆえに、逆に無心になってひたすらプレイに没頭するしかなかった(ように僕には見えた)、五十嵐、中畑、キタダの3人の演奏そのもの、歌そのもの。「すごいテンション」や「すごい乱暴さ」と、「すごい緻密さ」や「すごい繊細さ」が同居する、なんかもう、「奇跡」とか「偶然」とか、そういう言葉を使いたくなるような演奏と歌だった。すんごいていねいで正確な演奏だったわけじゃない。各楽器の音のリンクが乱れて、ジャンクな音になった瞬間もあったけど、それが「あちゃあ」って感じじゃなくて、むしろ勢いやテンションの表れとして成立してるみたいな、そういう感じだった。9曲目“負け犬”のイントロで五十嵐が間違えて「“負け犬”だけに!」と叫んで最初から弾き直す、という一幕はあったが、それも愛嬌の範囲だったし。
あと、とにかく、愛に満ちてました。武道館が。ステージの上も下も。なんかもう、感無量でした、観ているこっちまで。この日、超満員の客席からステージにかけられた声で最も多かったのが、「ありがとう!」だったのが、それを示していると思う。ライヴの最後で、じゃなくて、中盤あたりから、曲と曲の間が開くと、客席のあちこちから「ありがとう!」「ありがとう!」って声が上がっていた。たぶん、お客さん達も万感の思いがありすぎて、他に言葉を探しようがなかったんだと思う。
あと……他にも書きたいことは本当にいっぱいあるんだけど、このままだと夜を徹して書いてしまいそうなので、そうすると即日ライヴレポートが翌日ライヴレポートになってしまうので、セットリストを書いて終わりにします。それから、3度目のアンコールで“翌日”をやる前の(というか、今日ほぼ唯一の)五十嵐のMCがあまりにもよかったので、それも書いておきます。聴きながら殴り書きしたので細部は違ってるかもしれませんが、大意は合ってると思います。それ以上詳しいレポートは、3月19日発売のロッキング・オン・ジャパン4月号にみっちり掲載しますので、そちらをお楽しみに。(兵庫慎司)
五十嵐のMC
明日は来ないね。明日はない。終わってしまうね。
ってさっき思ったんですけど、プレーヤーから次の日が見える歌をいっぱい書いたから、
よかったらこれからも聴いてください。
次の曲も、明日のことを歌った曲です。
(で、“翌日”に突入)
セットリスト
1. きこえるかい
2. 無効の日
3. 生活
4. 神のカルマ
5. I.N.M
6. Anything for today
7. イエロウ
8. 月になって
9. 負け犬
10. 希望
11. センチメンタル
12. 明日を落としても
13. もったいない
14. 生きたいよ
15. 途中の行方
16. ex.人間
17. 正常
18. パープルムカデ
19. 天才
20. ソドシラソ
21. Sonic Discorder
22. Coup d’Etat〜空をなくす
23. リアル
アンコール1回目
24. さくら
25. ニセモノ
26. 新曲
27. イマジネーション
28. scene through
アンコール2回目
29. She was beautiful
30. 落堕
31. 真空
アンコール3回目
32.翌日
33.Reborn