Aqua Timez@日本武道館

Aqua Timez@日本武道館
6月から全国ホールツアーを廻っていたAqua Timez。そのツアーファイナル、かつデビュー10周年記念ライヴとして日本武道館公演=「sing along SINGLES tour 2015 〜シングル18曲一本勝負プラスα〜」が行われた。インディーズデビュー作から“等身大のラブソング”を披露すると、それ以降は全シングル曲を時系列で演奏。自らのバイオグラフィを辿りながら「今日は生き様を見せていきたいと思います」というその言葉を有言実行してみせた。

Aqua Timez@日本武道館
オープニングはインタビュー+これまでのライヴ映像で構成されたムービー。モノクロの街を5つの光が進み、それらが武道館に到着。モニターの中の太志(Vo)、OKP-STAR(B)、大介(G)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)が「いくぞ、オイッ!」と掛け声を放ったところで映像終了。サポートのモチヅキヤスノリ(Key)を含めた6人がステージ上に姿を見せた。お立ち台にヒョイと上がって客席を見渡す太志。キーボードをバックに“等身大のラブソング”を歌い始める。「俺たちが今日、武道館に何しに来たか分かるか? 幸せにしに来たんだよ、お前ら全員をな!」熱のこもった言葉に応えるかのように客席からは大きな歌声が返ってきた。

Aqua Timez@日本武道館
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当時のテレビ出演映像が流れるなか、穏やかなその歌声とサウンドに月日の流れと彼らの成長を感じたのは“決意の朝に”“千の夜をこえて”。その余韻を突き破るように「日本武道館、元気ですかー!?」とハイテンションで叫ぶのはOKP-STARだ。何度も噛みながらもファンへの感謝を伝える彼に対し、「おめでとう!」と「頑張れ!」が入り混じる客席の空気も何だか微笑ましい。そして太志による開会宣言を挟み、夕焼けに似た照明が印象的な“しおり”、巨大風船が客席に投入された“虹”、レーザー光線が焦燥感を駆り立てる“Velonica”と、それぞれの曲の世界を増幅させる演出とともに彩り豊かな曲の魅力を伝える。特に、ファンへの感謝を込めた“小さな掌”は、間違いなくこの日のハイライトのひとつだった。伴奏はキーボードのみでほぼアカペラ状態の1番、2番から加わるバンドの音、《こんな僕を愛してくれる君たちに》と歌詞を替えたラスト——丁寧に丁寧に、彼らは音と想いを重ねていく。

Aqua Timez@日本武道館
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“プルメリア〜花唄〜”にてハンドワイパーするオーディエンスを愛おしそうに眺めながら、「俺たちの夢は10年後も武道館でみんなと一緒に歌うことです!」と太志が宣言し後半戦がスタート。スモークも噴射した“GRAVITY φ”では、呼吸をガッチリ合わせながらグイグイ熱量を高めるサウンド。アグレッシヴな曲でも、前傾視線で客席の一人ひとりと目線を合わせるようにして歌う太志の「伝えること」に対する姿勢は変わらない。そのまま“真夜中のオーケストラ”へ……と思いきや入りが乱れたためストップ。「これがライヴだよ! あえてだよ!」と太志がすかさず誤魔化していたのも、またご愛嬌ということで。

Aqua Timez@日本武道館
ハート型のメッセージカードが上空から舞い落ちる演出もあった“つぼみ”のあと、「上手いから、得意だからじゃなくて、伝えたいことがあるからバンドをやってます」と太志。「必死に伝えるのが自分が選んだ生き方です。両親にもらったこの声で『生きてるってことは素晴らしいことなんだよ』って歌い続けていきたいと思います」と語ると、上空に突き抜けるようなシャウトから“生きて”、そして“最後までⅡ”へ。自分も含め人間は誰だって完璧ではない。言葉ですべてを表すことなんてできない。永遠に一緒になんていられない——それらを分かっていながらも、それでもステージに立ち、それでも歌にし、それでもライヴでは幸せを分かち合おうとしてきたのがAqua Timezである。自らの意思で「それでも」へと立ち向かい足掻き続けた経験は、10年かけて、揺るぎないバンドの強さとなった。そんな生き様が最新曲に生々しく落とし込まれていたことこそが、何よりも素晴らしく、感動的だった。

Aqua Timez@日本武道館
アンコールではまず“真夜中のオーケストラ”を5人のアカペラで披露! 初期のナンバー“向日葵”のあとは、オーディエンスがぐるぐるとタオルを回す“さくら道”へ。噛みしめるように「幸せだなあ」と呟く太志をはじめ、モニターに大映しになったメンバーの笑顔がこの日の充実感を物語っていた。そしてアンコールラストは“シンガロング”。「一緒に声枯らそうぜ!」と太志が呼びかけると、突如会場は明転に。客席全体に大きなスポットライトを当てたようなラストシーン、とても彼ららしかった。

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終演後、突如モニターに浮かぶのは「緊張告知」の文字。バンド史上初の47都道府県ツアーの知らせに、客席のあちこちから悲鳴にも似た歓声が上がった。ステージを去る間際、太志は「10年後また武道館で待ち合わせようぜ!」と言っていたし、この日メンバーの口から「続ける」という言葉が何度も出てきた。そう、彼らはこれからも夢と幸福を描き続けるんだ。そこに「あなた」がいる限りは。(蜂須賀ちなみ)

●セットリスト

01.等身大のラブソング
02.決意の朝に
03.千の夜をこえて
04.しおり
05.ALONES
06.小さな掌
07.虹
08.夏のかけら
09.Velonica
10.STAY GOLD
11.プルメリア〜花唄〜
12.絵はがきの春
13.GRAVITY φ
14.真夜中のオーケストラ
15.MASK
16.つぼみ
17.エデン
18.生きて
19.最後までⅡ
(encore)
20.真夜中のオーケストラ(アカペラ)
21.向日葵
22.さくら道
23.シンガロング
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