デュラン・デュラン @ ZEPP TOKYO

2005年のサマーソニック以来3年ぶりの来日、しかもZEPP東京ワンナイト・オンリーという非情なまでのプレミア感、そして惜しげもなく超ヒット・チューンを連続投下する腹を括ったベスト・セットリストときたら、盛り上がらないわけがないのである。80年代にここ日本でも絶大な人気を誇ったデュラン・デュラン、超満員の場内には彼らの最新ライブを一目見ようと今様に言うところのアラフォー(Around 40)の皆さんが集結し、青春よ再び!とばかりに初っ端からガンガンに盛り上がっている……わ、若い。バブルもディスコも雇用機会均等法もど真ん中で経験した日本のアラフォーは気持ちも身体も若いし、今なおイケイケでギラギラである。中途半端なアラサーの己のほうがよっぽど枯れているかもしれない……と、ボディコンシャスな装いでクネクネ踊る姐様方を横目に頭を垂れた筆者であった。

“プラネット・アース”、“ハングリー・ライク・ア・ウルフ”、“セイヴ・ア・プレイヤー”、“ア・ビュー・トゥ・ア・キル”、“ワイルド・ボーイズ”、“リオ”、“ガールズ・オン・フィルム”、“ノトーリアス”、“ザ・リフレックス”……と、やるべき曲、聴きたい曲は全てやり、“スキン・トレード”、“オール・シー・ウォンツ・イズ”、“アイ・ドント・ウォント・ユア・ラヴ”……といった不遇時代のニッチな名曲もエレクトロ・セットにこっそり紛れ込ませてコア・ファンを涙させ、“オーディナリー・ワールド”や“サンライズ”、“スキン・ダイヴァーズ”といった新しめのヒット曲もふんだんに披露して生涯現役を超アピールするという、腹いっぱい胸いっぱい、隅から隅までとんでもなく濃厚な2時間であった。

それにしても、デュラン・デュランは若い。そう、アラフォーのオーディエンスだけはなく、彼ら自身も実年齢とは程遠い「気分の若さ」を感じさせる存在なのだ。サイモン・ル・ボンは相変わらずホスト風味の優男だし、ジョン・テイラーのペンシル・パンツも難なく穿きこなす王子様っぷりは健在だし、ニック・ローズは25年前と変わらず化粧が濃い。たとえば同年代のマドンナがマゾヒスティックなまでに肉体を鍛え上げ、ギリギリまで自制し、筋肉隆々な若さをキープしているのと比べると、彼らの実も蓋もないほどのあっけらかんとした若さはある意味、異様である。なんというか、人生の年輪を感じさせない若さなのだ。デビューから27年、今なお浮ついていて、ミーハーで、チャラチャラしていているこの凄まじい「軽さ」こそがデュラン・デュランの真骨頂なのかもしれないし、彼らの存在が今なお究極のポップである要因なのかもしれない。やー楽しかった!(粉川しの)
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