「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - All photo by 小松陽祐(ODD JOB)、岡本麻衣All photo by 小松陽祐(ODD JOB)、岡本麻衣
luzがオーガナイザーを務めるレーベル「XYZP」。その夏ツアー「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」が8月24日のZepp DiverCity公演を皮切りに開催。9月18日のZepp Osaka Baysideまで国内5公演を終え、10月には韓国と上海で行うことが発表されているなど、破竹の勢いを見せている。
今回は9月2日に同ツアー2回目となったZepp DiverCity公演の模様をレポートする。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity
開演前、パンパンのZepp DiverCityの会場内にまず響き渡ったのは、影アナウンスの天月-あまつき-そらるの声。ライブの注意事項を読み上げると、ひとつひとつに行儀よく返事をするオーディエンス。そして最後に天月-あまつき-に促され、luzが書いたという文章を読まされるそらる。「東京のみんなー! ……めちゃくちゃにしてやるよ(笑)」。このワイルドなセリフに黄色い悲鳴が沸き起こるが、当のそらるは笑ってしまっている(笑)。初っ端から掴みはばっちりというところで暗転。ステージを覆う紗幕に「XYZ」のロゴ「X」が映し出され、いよいよ開演!

紗幕にふたりの影が浮かび、幕が下りるとあらきとnqrseが登場。先日発売されたふたりによるアルバム『Will O Wisp』にも収録されている“インターネッツ・ディスコ”が始まる。多くのコラボ曲を歌っている彼らだからこその息のあったパフォーマンスが、安定感と、ライブならではのさらなる迫力を生み出す。nqrseが「XYZツアーへようこそ!」と叫ぶと、あらきは「今日もみんな騒いで帰ろうぜー!」とトップバッターとしての挨拶代わりのシャウト。「来いよおまえら!」とnqrseが雄々しく叫ぶと、会場も赤とピンクのライトを高く掲げ、それに応える。
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - ピコピコ
続いて“ゴーストルール”のイントロが始まり、ピコが「かましてこうぜXYZ!」とあらきと入れ替わりで登場。nqrseのオリジナルラップが炸裂し、ピコによる高音かつ聴かせる歌声で、多くの歌い手に歌われているこの曲の新たな魅力が引き出されるようだ。さらにふたりの高低のハモリがまた絶妙さを醸し出す。
ピコは「東京のみなさん元気ですかー!?」、「一番良い景色見せてくれよ!!」と男らしく叫ぶと、“天樂”をシャウト多めに披露。パフォーマンスには貫禄すら感じ、圧倒されてしまう。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - luzluz
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - luz&Leda(G)luz&Leda(G)
白と黒の衣装をまとったluzが登場すると、早速「おまえら声出せ」とつぶやくように煽る。バンドのフロントマン3人とluzがステージ前方に並び、“REFLEXIÓN”を披露。luzはステージを端から端へ動いたり、Leda(G)と背中合わせで歌ったりと、パフォーマンスやその歌声も合わせて、先日のワンマンライブからさらにレベルアップしたことが感じられた。続けて、「XYZツアーへようこそ」、「至高の夜を届けに来たぞ」と、オーガナイザーとしての挨拶とともに“R-18”へ。妖艶な歌声を響かせる。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - そらるそらる
“バレリーコ”のイントロが始まり、luzが「そらるさ~ん」と呼び込み、青のジャケットを着たそらるが登場。それぞれで歌ってみたを投稿しているこの曲だが、今回はコラボでの披露ということで、ふたりの特徴が溶け合うように混ざり合う。サビでluzの「跳ぶよー!」に合わせ、会場(というかZepp DiverCity)が揺れる。luzはお立ち台に座ったり、そらると向き合って歌ったりと、ふたりの魅せるステージングが曲ととてもマッチしている。
続いて、そらるソロの“シャルル”では、優しい歌声と、高音のファルセットをとても丁寧に歌い、“ドリームレス・ドリームス”では、美しいビブラートを響き渡らせた。どちらもシャウトを含ませる部分があるのだが、優しく憂いを帯びた歌声との抑揚のギャップが本当に魅力的だと感じる2曲だったし、歌い終わった後にこぼすように「ありがとう」と呟いたのも、情感があふれていた。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - kradnesskradness
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - kradnesskradness
会場は青のライトから黄色に変わり、kradnessが登場。張り上げる高音から始まる“命のユースティティア”が披露される。kradnessの弾ける高音ボイスが、高低差のある難しいメロディを溌剌と歌い上げ、間髪入れずにまふまふ作のIAによるボカロ曲“マチガイサガシ”へ。こちらも難しい曲だが、堂々とパフォーマンスする。
そしてUFO来襲のようなイントロの“エイリアンエイリアン”が始まるとあらきが登場。この曲も、ふたりともそれぞれで歌ってみたを投稿している曲のコラボとなる。コーラスを入れたり、一部をラップ調に歌ったり、アレンジして歌い、ふたりの高音のハモリが際立つ。
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - あらきあらき
あらきが「騒いでいこうぜ東京ー!」と叫び、ソロで“キレキャリオン”へ。声量のあるパワフルなキレッキレの、高音ボイスまでビリビリと体の奥に響くような歌声に、思わず圧倒される。

今回のツアーが始まる前日の8月23日に投稿された、un:cとピコの初コラボによる“雨とペトラ”では、un:cのやんちゃな歌声とピコのしとやかな歌声が絶妙にマッチする。また、1サビでは向かい合い、2サビではすれ違うように入れ替わったり、お立ち台の上でピコは跪いて歌うなど、凝ったステージパフォーマンスを見せていた。
次のun:cソロの“ナンセンス文学”では、ジャンプを煽るなどノリノリで、手拍子もタイミングぴったり。ジャンプしながら足を上げて踊るように歌う。
un:cは、激しいドラムイントロをバックに「もっともっとみんなで遊びたいと思いますので」、「すっげえワクワクしてる!」と、今回のツアーでこの公演のみ出演の天月-あまつき-を呼び込み、2014年にun:cとの初コラボで投稿されたふたりによる“ロストワンの号哭”がライブで披露される。ドラムに合わせて会場と合いの手の練習をするなど、この攻めた曲のためにさらに会場のボルテージを高める。ふたりは競り合うように歌い、お互いの襟を掴んで引き寄せるなど、激しい曲調に合わせてパフォーマンスし、会場が大いに沸く。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - 天月-あまつき-天月-あまつき-
天月-あまつき-の最新両A面シングルより披露された“Mr.Fake”では、ステージを動き回ったり慣れたパフォーマンスで会場を魅了する。先日、ツアーが終了したばかりということもあり、まさに実力を見せつけられる感覚は、一流のアーティストのそれを見ているようだった。
MCでは、XYZのライブに久しぶりに出演したとのことで、「(出演メンバーの)みんなどんどんパワーアップしている中で、僕もエネルギーをもらって、ラストに向けてまだまだ楽しませてもらおうと思うので」と、メンバーに敬意を払いつつ、自分も負けてられないと意気込みを見せる。そして次の曲として、ライブだけでしかやってないオリジナル曲と予告。「(曲を)知らない人が多いと思うけど」、「今日ライブを通して、音楽って楽しいなって思ってもらえたら、僕はめちゃくちゃ嬉しいです」と語り、“マリオネットラヴァーズ”へ。天月-あまつき-の言葉に、会場も赤いライトを振って曲を楽しんでいた。このツアーでは今公演のみ出演ということもあり、自身の言葉通り、目いっぱい楽しむように歌い上げ、歌い終わった後も「楽しかった、ありがとう」と興奮気味に言ってステージを下りた。

nqrseが登場し、“威風堂々”が始まる。エロティシズムあふれるこの曲だが、nqrseの手にかかると、ラップアレンジが含まれるからか叙情的に感じる。さらに女性的な歌詞なのに、猛々しさすら感じるのである。これがnqrseのオリジナリティかとしみじみ思わされる。次曲“パラサイト”は、feat.にまふまふとluzを迎えて投稿されている、まふまふの提供曲だが、今回はluzとふたりで歌唱。ふたりで強い口調で会場を煽りまくり、nqrseのラップとluzのメロディアスな歌声が絡まり合う。さらにふたりは額を合わせて歌唱するなど、パフォーマンスでも会場を沸かせる。

そしてluzと天月-あまつき-による“ロメオ”は、luzが勇次郎、天月-あまつき-が愛蔵のパートを歌う。ふたりとも別のコラボで同パートで投稿しているこの人気曲を、今回はパートナーを変えて披露。背中合わせだったり、膝をついて《さあおいで》と王子様のように歌ったりと、会場の女性たちは(男性も?)歓喜の悲鳴を上げていた。
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - luz&Shoyo(B)luz&Shoyo(B)
「こっからXYZラストスパートだ!」と叫んだluzソロの“Dearest,Dearest”では、完全にステージを掌握しきったluzが「俺に従え」と命令のように煽ると、会場も言われるままに声を張り上げ、ボルテージを上げる。白いライトで一面に照らされているのに、会場は炎のように熱くなったところで、あらきとピコによる“ベルセルク”へ。まふまふのオリジナル曲を歌ってみたで投稿しているふたりだが、今回のライブも一層熱を帯び、完成されたパフォーマンスを見せた。
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - ピコ&あらきピコ&あらき
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - ピコピコ
そして、ピコのソロによる“拝啓ドッペルゲンガー”。kemuがボカロPとして4年ぶりに投稿したこの曲は、本人がPENGUIN RESEARCHのベース・堀江晶太であることを明かしたことを含めて話題になり、またこの曲の難易度の高さもあって(kemuの曲はほぼそうだが)、多くの歌い手たちが歌ってみたを投稿している。そんな曲をピコは、圧巻のパフォーマンスと歌声で披露するから、見ているこっちは息をするのを忘れるくらいだった。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity - un:cun:c
一転して、“太陽系デスコ”では、天月-あまつき-は跳び回り、いつもは大人しげなそらるも天月-あまつき-につられるように楽しそうに歌う。
“チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!”でun:cは、投稿されているこの曲の映像と同じ踊りをするなど、軽快な身のこなしで踊りまくり、ピッタリ合った会場とのコールアンドレスポンスも。
kradnessを呼び込んでの“ギガンティックO.T.N”は、テンションの高いふたりの戯れるようなライブに、黄色とオレンジの会場のライトも相まって、一層楽しさが増すよう。
その流れのまま、メンバー全員が登場して「×」ジャンプのレクチャーから始まる本編最後の“デリヘル呼んだら君が来た”。バンドメンバー紹介では、キーボードのMaoが『けものフレンズ』OP“ようこそジャパリパークへ”のイントロのホーンを鳴らすと、それに続いてドラムの裕木レオンがまた同曲を演奏しはじめ、出演者たちも《Welcome to ようこそジャパリパーク!/今日もドッタンバッタン大騒ぎ/うー!がぉー!》と歌い始める。さらに、ベースのShoyoによるピコへのピコ太郎いじりまで、終始笑いが絶えず、一切打ち合わせをしていないとのことで、ふざけながらもメンバー同士の信頼感も伝わってきた。

「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity
天井のミラーボールに照明が当てられると、メンバー全員が再び登場し、アンコール1曲目“shake it!”を披露。
歌っているときは攻め口調なのに、喋ると柔らかい印象でluzが「みなさんのお陰で、XYZが、こんなにたくさんの人が集まるイベントになりました」と感謝の挨拶。恒例の写真撮影の後、全員からの挨拶へ。このツアーでは今回のみ参戦の天月-あまつき-は、「長く続くXYZの中で改めて呼んでいただいて参加することができました。東京は2日間で、僕やそらるさんが入ったりで、また違うXYZが見られたんじゃないかなと思います。そこに、最後にみなさんが『楽しかったな』という一言が残れば幸いです!」と、マイクを外して「本日は、ありがとうございました!!」と叫んだ。nqrseは、「XYZは2、3年くらい続いてるんですけど、いろんな出演者の人と出会って、昨日、XYZがなかったら出会えなかったあらきさんとのアルバムが発売されました」、「本当にこのXYZというライブイベントをこれからも大切にしたいなと思いました」と、9月1日に発売されたnqrseとあらきによるアルバム『Will O Wisp』について感謝を語った。

ピコの定番のオネエネタに会場が沸き、そらるは、「久しぶりの参戦で、ちょっと参加してなかっただけで、みんなのパフォーマンスがパワーアップしてたり、キャラクターがおかしな方向にいってる人がいたり、戸惑いもありつつも、お客さんのみんなや、パフォーマンスしてるみんなから、エネルギーをもらって、『XYZってこういうところだったかな』って……。まだまだこれからもXYZは続いていきますし、この後の公演も行く人もいると思うので、さらにより良いパフォーマンスができるように、自分も頑張るので、皆さま次も楽しんでいってください!」と、次公演への意気込みを語った。

luzは、「XYZが始まったきっかけは、最初は『ETAより良いものつくってやろう』と思って、せっかくやるならコンセプトを作ってやりたいっていうことを、ライブの監督たちと話して、できたのが今の流れで。一番最初にnqrseを誘いたいなと思って。かっこいいテイストのものができるって思った時に、まずnqrseが必要だと思ったんですよね。そこからいろんな方をお誘いして、参加してくれて。それで共通点に気づいたんですけど、出演者がみんな、もちろん自分の全力を出し切るステージもあるんですけど、何より、このイベントを大事にしてくれてるんですよね。一つ一つ、演出やパフォーマンスも素晴らしいみなさんなんですけど、何より、このイベントを盛り上げようと、このXYZというものを大事にしたいという気持ちが、楽屋でも袖から見てても伝わってきて。3年目になって改めてこのイベントをつくってよかったなって思ったし、ついてきてくれるみんなのことが……本当に、愛してる!」と、オーガナイザーとして、このイベントや、一緒につくってくれる仲間、集まってくれるお客さんへの万感の思いを語った。
そして、「至高の夜をお届けします」と、昨年の「XYZ TOUR 2016 -SUMMER-」テーマソングとして、まふまふが作詞作曲、ラップ詞をnqrseが手掛けた“Secret Answer”をメンバー全員で歌い上げた。

ENDING BGMとして“shake it!”が流れ始め、全員でマイクなしで「ありがとうございました!」と挨拶。ステージの端から端まで、まるで去るのが名残惜しいかのように、会場の隅々まで感謝の気持ちが届くように挨拶し、至高の夜は幕を下ろした。
関わっている全ての人が大切にしているこのイベントは、みんなで良くしようという思いが感じられ、お客さんもそれに応えようと、目いっぱいに盛り上がっていて、その相互の思いが、このイベントを作り上げていると感じた。10月には韓国・上海公演もあるが、きっと海外のファンも彼らを熱く迎え、至高の夜が繰り広げられることだろう。(中川志織)
「XYZ TOUR 2017 -SUMMER-」/Zepp DiverCity


●セットリスト
1. インターネッツ・ディスコ  あらき/nqrse
2. ゴーストルール  ピコ/nqrse
3. 天樂  ピコ
4. REFLEXIÓN  luz
5. R-18  luz
6. バレリーコ  luz/そらる
7. シャルル  そらる
8. ドリームレス・ドリームス  そらる
9. 命のユースティティア  kradness
10. マチガイサガシ  kradness
11. エイリアンエイリアン  kradness/あらき
12. キレキャリオン  あらき
13. 雨とペトラ  un:c/ピコ
14. ナンセンス文学  un:c
15. ロストワンの号哭  un:c/天月-あまつき-
16. Mr.Fake  天月-あまつき-
17. マリオネットラヴァーズ  天月-あまつき-
18. 威風堂々  nqrse
19. パラサイト  luz/nqrse
20. ロメオ  luz/天月-あまつき-
21. Dearest, Dearest  luz
22. ベルセルク  あらき/ピコ
23. 拝啓ドッペルゲンガー  ピコ
24. 太陽系デスコ  そらる/天月-あまつき-
25. チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!  un:c
26. ギガンティックO.T.N  un:c/kradness
27. デリヘル呼んだら君が来た  天月/あらき/un:c/kradness/そらる/nqrse/ピコ/luz
(アンコール)
EN1. shake it!  天月/あらき/un:c/kradness/そらる/nqrse/ピコ/luz
EN2. Secret Answer  天月/あらき/un:c/kradness/そらる/nqrse/ピコ/luz



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