BUMP OF CHICKEN/さいたまスーパーアリーナ

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「明日もあるってのに、すげえ寂しいです。君たちのせいです」――ツアーファイナルとなったさいたまスーパーアリーナ2Days公演の1日目。ステージを去る間際に藤原基央(Vo・G)は、万感の想いを2万人の観客に伝えていた。
「久しぶりに埼玉でやったことも嬉しいし――俺個人ですけど、こうやってステージに戻ってこれたことも嬉しいし。何よりも今日、君たちと一緒に、こうやってライブを作ることができたのが、とってもとっても嬉しいことでした」

BUMP OF CHICKEN/さいたまスーパーアリーナ

昨年9月の幕張メッセを皮切りに、全国のアリーナ会場と東名阪のライブハウスを巡ってきた、「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」。藤原基央のインフルエンザの影響により、当初1月予定だった福岡公演が3月に振替開催となったものの、BUMP OF CHICKENの4人にとっての「音楽の意味」を真摯に、伸びやかに再定義するような道程のまさに集大成。ロックの荘厳さとポップの覚醒感に満ちた、音楽の喜びそのものの祝祭空間が、ここには確かに広がっていた。

BUMP OF CHICKEN/さいたまスーパーアリーナ

BUMP OF CHICKENにとっては「ホームシップ衛星」ツアー(2008年)以来約10年ぶりとなるさいたまスーパーアリーナでのステージ。
上記の福岡公演が控えているため、ここではセットリストの掲載は割愛させていただくが、ツアーを通してライブの幕開けを彩ってきた精緻かつ雄大なインストナンバー“pathfinder”の時点から、BUMP OF CHICKENの音楽世界のハイパーな進化ぶりを、この場にいた誰もが実感したはずだ。
筆者自身、ツアー初日の幕張メッセ、11月の新木場STUDIO COAST、12月の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナの各公演を目の当たりにしてきたが、単純に「バンドとしてステージで演奏する」だけでなく、「メンバーと/空間と/オーディエンスと響き合う」というライブの空気感がこれまで以上に濃密に満ちあふれていることが何より印象的だった。
そんな彼らのモードが、大空間狭しと飛び交うレーザー光線やPIXMOB(LED内蔵リストバンド)の輝きと相俟って、たまアリを珠玉の高揚空間へ塗り替えていく。

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ちょうど2年前にリリースされた最新アルバム『Butterflies』の“GO”や配信シングル“アンサー”、“リボン”、“記念撮影”など最新楽曲群から、“天体観測”のような初期曲に至るまで、そのキャリアの中から幅広く自由に選曲されているのも、このツアーならではの醍醐味だ。
「今回のツアーはね、何も引っ提げてないんですよ。アルバム出て、新曲出てツアーやる、みたいな感じじゃなくて、4人がやりたいなと思ってやったツアーなんですけど。むっちゃくちゃ楽しかった! 何が一番楽しかったかって、4人で音を出すのが一番楽しかった!」と直井由文(B)は語っていたが、“ray”のカラフル&ハイブリッドなポップ感にも、“pinkie”のギターロックの清冽さにも、その「楽しさ」が爽快なまでに弾けていて、アリーナもスタンドも刻一刻とその熱気と歓喜の色を増していった。

BUMP OF CHICKEN/さいたまスーパーアリーナ

「私事ではありますが、いろいろとご心配ご迷惑おかけしました」と挨拶しつつ、インフルエンザの影響など感じさせないエモーショナルな歌声で、そのメロディと言葉をたまアリの巨大な空間に解き放っていた藤原。増川弘明(G)のストラトキャスターが奏でるアルペジオと、藤原がレスポールスペシャルから繰り出すフレーズが、澄み切ったアンビエンスの中で美しく絡み合う“記念撮影”。2本のギターと升秀夫(Dr)&直井のベースラインが激しく鮮烈に共鳴し合う“天体観測”――。日本のロックシーンの先端をひた走ってきたBUMPの音楽の豊潤さが、ツアーを通して磨きのかかった4人のアンサンブルと、それをくっきり立体的に伝えるサウンドメイキングと織り重なって、至上の音のスペクタクルを生み出していく。
エンターテインメントとして/コミュニケーションとしてはもちろん、この日のライブ空間は純粋に音楽的に見て、バンドという表現のひとつの到達点と呼ぶべき素晴らしいものだった。

BUMP OF CHICKEN/さいたまスーパーアリーナ

ツアー中すっかりお馴染みとなった「会場名のコール&レスポンス」では、客席一丸となって「たまアリ!」の大合唱を巻き起こしていたし、“fire sign”での「オーディエンスのコーラスとともにブルースセッション」の場面でも、2万人スケールの歌声とともに壮大な多幸感を描き出していた。
2月11日に結成22周年の記念日を迎えた彼らにとって「21周年最後のライブ」となったこの日。「10年以上前からあった曲を演奏して、みんなが声を上げてくれたり、手を上げたりしてくれる。一方、ここ1〜2年の曲でも、遠くの方の人もアリーナの人もみんなリアクションを返してくれて。21周年の最後の夜に、心の奥の奥の奥の方まで深く刻み込めて、すげえ嬉しかったです」と語る藤原の姿に、熱い拍手喝采が広がる。

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ツアーの間にいくつも新曲を作っていることを明かしていた藤原。「まだみんなに聴いてもらってない曲たち、俺が頭の中や心の中の引き出しに仕舞ってるその曲たちは、本当に幸せな世界に生まれてくるんだなあと」――そんな彼の言葉は、「PATHFINDER」(探求者)というツアータイトルを掲げて音楽の本質への旅路を歩んできたBUMP OF CHICKENの、さらなる「その先」の可能性をまっすぐに物語るものだった。(高橋智樹)

終演後ブログ
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