【来日レポ】エド・シーラン @ 日本武道館公演

【来日レポ】エド・シーラン @ 日本武道館公演 - photo by 岸田哲平photo by 岸田哲平

パフォーマンスとしてあまりにも圧倒的な内容だったエド・シーランの今回の武道館公演。もちろん、4年前の来日公演もエドのポテンシャルをすべて打ち出すという意味で、ただただ衝撃的だった。基本的にあの時と今回とでエドのアプローチに特に変わったところはなく、エドがこういうライブを引っ提げてくることは予想のつくことではあった。

しかし、前回と比べるとアーティストとしてあまりにも懐が深くなっており、スケールがまるで違う大きさで帰って来たのだ。今回エドに痛感させられたのは、そのアーティストとしての力量の桁外れなポテンシャルだった。

実に簡単なステージ・セットに登場したエドは、オープナーとしてまずギター1本でリズムと伴奏を作り上げてから“Castle On The Hill”を歌い出した。最新作『÷(ディバイド)』収録曲で、最も完成度の高いこの曲を歌い上げていき、会場のボルテージはいきなり沸騰状態に。

続いてエドは来日できて本当に嬉しいと観客に伝えてから、自身の足元の膨大な機材を示して「これがぼくのループ・ステーションだよ」と説明。エドはコーラスから伴奏まで、すべてチャンネル別にこの機材を足で操作しており、その場でループし、さまざまなパートを駆使しながら自分ひとりだけのアンサンブル・パフォーマンスを届けているのだ。

だから弾き語り系ではない曲では歌い出しでまずビートを作り、基本伴奏を作ったのち、さらにコーラスを作るという手順を辿ることが多い。2015年のウェンブリー・スタジアム公演の時点でも、まだエドのパフォーマンスは事前録音されたものだと得意気に触れ回っている人がいたこともあり自分の機材をあらかじめ紹介しているのだ。

そうやって、エドは最新作の『÷(ディバイド)』からの“Eraser”を続けて披露。スターダムに晒されてからの混乱とそれ以前の記憶が交錯するこの曲は、ループを使ったエッジーなアレンジと、どこまでもラップ的でアグレッシヴな唱法にうってつけな内容になっており、エドの表現者としての新しさをどこまでも打ち出していた。

【来日レポ】エド・シーラン @ 日本武道館公演 - photo by 岸田哲平photo by 岸田哲平

すると、今度はエドのソングライティングの極みとなった名曲“The A Team”へ。文字通り、エドにとってブレイクのきっかけとなった曲だが、構成とメロディがドラマティックで感動的な展開をみせる、名曲ならではの名演となった。何度聴いても、その輝きが失われない素晴らしい曲だ。

続いては、エドのR&B的なソングライティングとパフォーマンスが極まった2nd『X(マルティプライ)』からの“Don’t”へ。アルバム・バージョンよりギター演奏が立っており、エドのパフォーマンスの真骨頂となって、早くもこの日のライブのハイライトとなるべき瞬間を生み出していた。曲の終盤では“New Man”の歌詞に移行という力業も見せてくれた。かつて関係のあった相手を拒絶する、という意味で同じ文脈にあるこの2曲で披露したどこまでもスピードラップみたいな性急なボーカルこそが、エドのたまらない魅力となっているのだ。

続くソウル・バラードをエド的なシャープな演奏で聴かせる“Dive”、どこまでもモダン・ロック的なグルーヴを自身のコーラスとともに聴かせる“Bloodstream”ののち、傷心を歌う“Happier”、恋への衝動を吐露する“I’m a Mess”を経て、また名曲“Lego House”へと続き、ここでまたしてもひとつのライブのピークを生み出してみせる。

とにかく、アルバム3枚目にして持ち歌の配置が絶妙すぎるし、この先もまた終盤へ向けて新たな盛り上がりのシークエンスを続けていくのだ。そうやって本編はエド流R&Bバラードの傑作“Thinking Out Loud”と、エドが編み出した新ジャンルとしか形容のしようのない名曲“Sing”で締め括られることになった。

アンコールでは、エドのポップ・センスを極限まで集約した“Shape of You”、そしてエドのアグレッシヴなパフォーマンスの原点となっている“You Need Me, I Don’t Need You”の力強い演奏を叩きつけて終幕となった。

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パフォーマンスのアプローチとしては、先にも述べたように前回の来日と比べて特に変わったところはないのだが、まず圧倒的な説得力を持つ楽曲が新作とともに増えていること、そして、パフォーマンス自体の力がとてつもなくスケールを増していたところに今回の公演の素晴らしさはあったし、こういう姿と瞬間を目撃できて本当に幸運だと思った。(高見展)

〈SETLIST〉
1. Castle On The Hill
2. Eraser
3. The A Team
4. Don't / New Man
5. Dive
6. Bloodstream
7. Happier
8. I'm a Mess
9. Tenerife Sea
10. Galway Girl
11. I See Fire
12. Photograph
13. One / Perfect
14. Nancy Mulligan
15. Thinking Out Loud
16. Sing
(encore)
17. Shape of You
18. You Need Me, I Don't Need You
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