04 Limited Sazabys/横浜アリーナ

04 Limited Sazabys/横浜アリーナ - Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

4月29日、04 Limited Sazabysが横浜アリーナでワンマンライブを開催した。結成10周年を記念したアリーナツアーはこのあと日本ガイシホール公演(5/5)、大阪城ホール公演(5/11)と続いていくが、以下のテキストでは一部曲目&演出に触れているため、ネタバレを避けたい方はライブ終了後に読んでいただければと思う。なお、5月30日発売の『ROCKIN’ON JAPAN』7月号では、この横浜アリーナ公演で実施した密着取材の模様を掲載予定。そちらもお見逃しなく。

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2017年2月の武道館公演が「挑戦者」として臨んだものだとしたら、今はさしずめ「覇者」といったところだろうか。そのくらい音の風格が違っていたというのが、4人一斉に鳴らした一音目を聴いた率直な感想だ。芯の太く、切れ味鋭いサウンドが会場をスコーンと貫いていく様子はひたすらに痛快。さらにこの日は特にバラードの鳴りが良く、広い会場を豊かに満たすようなサウンドにはこの1年強での成長が感じられた。「04 Limited Sazabys 10周年おめでとうございます、ありがとうございます。ちょっといつもより多めに輝こうと思ってます」というGEN(B・Vo)の言葉に偽りなし。

04 Limited Sazabys/横浜アリーナ - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ
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両親が観に来ていたというHIROKAZ(G)がメンバーから「いつもより緊張してないですか?」と指摘されてはいたものの、演奏が委縮している様子は特になく、4人の佇まいはむしろ堂々と――というかむしろ自然体にすら思えるほどだった。演奏中声が裏返りそうになるほどの勢いでオーディエンスを煽っていたRYU-TA(G・Cho)が「最高っす……!」とシンプルに手応えを語る一方、KOUHEI(Dr・Cho)は晴れの舞台にも関わらず、前々日に出演した『ミュージックステーション』の登場シーンでこけた件をメンバーにいじられる。GENはハードスケジュールだった直近3日間での腸の調子をやたら詳細に語り、本日は好調である旨をオーディエンスに伝えたのだった。

04 Limited Sazabys/横浜アリーナ - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ
04 Limited Sazabys/横浜アリーナ - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ

結成10周年+初のアリーナツアーということで、LEDパネルやCO2、火炎砲などを使用した大規模な演出も多かったこの日。しかしそれらは「記念にやっておきましょうか」的なテンションで用いられているわけではなく、あくまで曲の魅力を増長させるために機能していたことを特筆しておきたい。キメのリズムと同タイミングで照明の色が変わるなど、全体的に演奏と連動しているような箇所が多かったほか、「若い頃に作ったから青くて恥ずかしいけど、せっかくここに立つことができたのでやってもいいですか!?」と演奏された“Standing here”などセットリスト上で鍵となるような曲では、4人の姿を際立たせるために演出はあえてシンプルなものになっていた。今回のツアーは「10年間で出会ったいろいろなスペシャリストとともに作っている」そうだが、そのチームワークがあるからこそなせる業なのであろう。結果、目の前の光景は派手なのに、バンドの鳴らす音と言葉がめちゃくちゃシンプルに伝わってくるという不思議な感触のステージに。特に本編終盤は、目の前で鳴らされるフレーズ一つひとつに胸を熱くさせられるようなことが何度もあった。

04 Limited Sazabys/横浜アリーナ - Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
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また、途中には、「祝いたい気持ちが強すぎて裏方にまわっちゃった」と直前までカメラマンに扮していたBLUE ENCOUNT・田邊駿一、そしてgo!go!vanillas・牧達弥がゲストボーカルとして参加。田邊が加わった編成で“climb”を、牧が加わった編成で“Warp”を演奏するサプライズもあった。アクセントの置き方や発音のしかたが影響してか日本語を歌っても英詞に聞こえる田邊、どことなくヒップホップっぽさが出る牧、そしてGENと、3人のカラーがしっかり出たコラボはかなり興味深い内容だった。因みに名古屋・大阪公演では別のゲストが登場予定とのことなので、参加予定の方は楽しみにしておいてほしい。

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この日のセットリストは、最新シングル収録の“My HERO”や“夕凪”(ライブ初披露!)から、先述の“Standing here”のようなインディーズ時代の曲までを網羅したもの。例えばリリース順に曲を並べるなど、やり方によってはバンド自身の歴史にもっと焦点を当てた構成にすることもできたはずだが、そのような感じはなし。「一番つらかったのはCDを出せなかった時期」(HIROKAZ)、「よくお母さんにお金貸してって電話してた」(RYU-TA)など10年間を振り返るようなMCやバンドの歩みを彷彿させる演出もありはしたが、全体として、あくまでそれぞれの曲自体が主役のライブだった。その辺りには、MCでも語っていたように「フォーリミの曲」が「みんなの曲」「あなたの曲」として育っていく喜びをメンバー自身が噛み締めていること、そして、バンドの視線がこれから「先」へと向いていることが強く影響しているように思える。

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「ここからは自分たちで道を作っていくんだと思います。今まではただのバンドマンがヒーローになる物語でしたけど、ヒーローになってからが本編です」「ここから11年、12年と新しい道を開拓していきます。これからも俺たちのストーリーの登場人物でいてくれますか?」とGEN。04 Limited Sazabysは、ここからまた始まっていくのだ。(蜂須賀ちなみ)

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