THE YELLOW MONKEY「『9999』世界最速先行試聴会」 /日本武道館

THE YELLOW MONKEY「『9999』世界最速先行試聴会」 /日本武道館 - Photo by 三吉ツカサ(Showcase)Photo by 三吉ツカサ(Showcase)

●セットリスト
01.この恋のかけら
02.天道虫
03.Love Homme
04.Stars(9999 Version)
05.Breaking The Hide
06.ロザーナ
07.Changes Far Away
08.砂の塔
09.Balloon Balloon
10.Horizon
11.Titta Titta
12.ALRIGHT
13.I don’t know


4月17日(水)の発売までいよいよ残り3週間を切った、THE YELLOW MONKEYの19年ぶり9作目となるニューアルバム『9999』。その完成を記念して行われたのは、バンドにとっても縁の深い場所でもある日本武道館に、9999人のファンを抽選で無料招待して開催された「『9999』世界最速先行試聴会」だった。

客電が落ち、アリーナ前方の紗幕に「STORY of THE YELLOW MONKEY」のテロップが浮かび上がり、今回初めてロサンゼルスで行われたレコーディングの風景、さらにはアルバムについて語るメンバー4人のコメント映像が映し出され、『9999』への客席の期待感が刻一刻と高まっていく。そして――。

THE YELLOW MONKEY「『9999』世界最速先行試聴会」 /日本武道館 - Photo by 三吉ツカサ(Showcase)Photo by 三吉ツカサ(Showcase)
会場に鳴り渡った1曲目“この恋のかけら”のギターイントロの生々しい音色に、会場に緊張が走った次の瞬間、紗幕が落ちるとそこには、吉井和哉(LOVIN/Vo・G)、菊地英昭(EMMA/G)、廣瀬洋一(HEESEY/B)、菊地英二(ANNIE/Dr)の姿が! しかも、「試聴会のゲスト」といった佇まいではなく、まさに演奏のスタンバイを整えたバンドセットでの登場である。驚きと喜びに感極まったような大歓声が、あっという間に武道館を満たしていく。

THE YELLOW MONKEY「『9999』世界最速先行試聴会」 /日本武道館 - Photo by 三吉ツカサ(Showcase)Photo by 三吉ツカサ(Showcase)
興奮冷めやらぬまま、メンバーは“この恋のかけら”の演奏へと突入していく。業も罪もメランコリアも雄大なメロディで抱き止めるようなミディアムバラードが、会場を一気に高揚の頂へと導いてみせる。さらに、“天道虫”のワイルドなロック感が、満場のクラップを呼び起こす――。

この時点ではまだ、吉井はじめメンバーはこの日の演出について何も説明していない。が、そのまま妖艶なシャッフルビートのロックンロール“Love Homme”、ソリッド&タイトな強度を備えた“Stars(9999 Version)”……と楽曲が進んでいく中で、今回の「世界最速先行試聴会」が「世界最速先行『生演奏』試聴会」という究極のサプライズだった――ということを、この場にいた誰もがあふれんばかりの歓喜とともに感じ謳歌していた。

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ミディアムテンポのミステリアス&パワフルな楽曲“Breaking The Hide”のギターソロパートで見せた、バンド一丸のスリリングな疾走感。3拍子バラードの名曲“Changes Far Away”で描き出したアンサンブルの包容力――。1曲また1曲と「9作目」の楽曲が披露されるたびに、会場には割れんばかりの拍手喝采が響き渡る。

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楽曲の構造を丹念に「伝える」ために、冒頭からストイックな演奏に徹していたTHE YELLOW MONKEY。そんな空気が一変したのはアルバム終盤、菊地英昭作詞作曲による“Horizon”でのこと。《真っ直ぐ西に延びる線路》の部分を《真っ直ぐ延びる〜》と歌ってしまい、慌てて「ごめんなさい!」と演奏を中断する吉井。「一番大事な曲なのに……(笑)」とボヤく吉井の姿が、会場の緊迫感を解きほぐしていく。

「間違えたついでに――今回はね、試聴会だからしゃべらずに、ただ『みなさまの前で演奏に徹しよう』ということで、MCもなしでここまで進んできたんだけど……正直しんどかったです! 自分の年齢を忘れてました(笑)」
そんなふうに胸中を明かしながら、「なんか……みんなを前にすると、テンションが上がっちゃうから」と語りかける吉井の言葉に、場内の熱気はさらに高まりを見せる中、再びイントロから演奏された“Horizon”の《大丈夫僕ら君の味方だよ/そうさいつも君の味方だよ/We must go on!》のフレーズが、広大な空間を強く優しく震わせていった。

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“Titta Titta”のスウィンギンな躍動感から、熱いクラップと「ALRIGHT!」コールを呼び起こした“ALRIGHT”へ――人間のネガティビティを忌み嫌うのでも反発するのでもなく、それ自体を人間の生命の一部として受け止めながら、それらすべてをロックンロールの絶頂へと最短距離で誘うようなタフネスと肉体性が、この日の武道館に響いた『9999』の楽曲群には確かに備わっていた。

「ようやくTHE YELLOW MONKEY、19年ぶり9枚目のニューアルバム『9999』が完成しまして。発売前に先行試聴会ということで、会場に選ばれたのが、この日本武道館でした」。残すところは最終曲“I don’t know”のみ、というところでバンドを代表して吉井が語る。
「試聴会を武道館でやるということは前代未聞で。正直、お金も取っていませんし、いろんな大人の問題もあります(笑)。なんだけど、19年も待ってもらったファンに、こういう場所でリアルタイムで一緒に聴いてもらいたいな、っていうことがまずあって。だったら、やっぱり我々がみなさんの前で、生で演奏するのが一番いいんじゃないかということで」
そして、「新しい曲たち、どうでしたか?」という吉井の問いかけに応えて、9999人のファンの惜しみない拍手と歓声が、途切れることなく熱く強く沸き起こる――。19年ぶりの新作の真価を何よりリアルに物語る名場面だった。
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「9が4つ並んていて――ひとりひとりの苦労が集まった、そしてその苦労を4つ並べて、みんなで乗り越えようと、そういうふうにタイトルをつけました」と『9999』の由来を伝えた吉井が、さらに続けて「これからもミュージシャンとして、人として、まだまだ乗り越えなきゃいけないことがたくさんあります。よかったら、またこの生まれ変わったTHE YELLOW MONKEY、一生懸命頑張りますんで、どうぞみなさんよろしくお願いします!」と語りかけると、ひときわ高らかな拍手喝采が会場狭しと広がっていった。

「『本当はCDが聴きたかった』なんて言わないでくださいね(笑)」という悪戯っぽい言葉から“I don’t know”へ流れ込んで「生演奏試聴会」を堂々と締め括ったTHE YELLOW MONKEY。19年間のアルバムの「空白」を越えて、この上ない形でバンドの現在地と未来図を描き出してみせた『9999』。その全貌が最高の形で明らかになった、奇跡の一夜だった。(高橋智樹)
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終演後ブログ
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