Eve/Zepp DiverCity(TOKYO)

Eve/Zepp DiverCity(TOKYO) - All photo by 山川哲矢All photo by 山川哲矢

●セットリスト
OP.slumber(instrumental)
01.トーキョーゲットー
02.デーモンダンストーキョー
03.あの娘シークレット
04.アウトサイダー
05.やどりぎ
06.迷い子
07.ホームシック
08.sister
09.楓
10.fanfare(instrumental)
11.ナンセンス文学
12.ドラマツルギー
13.アンビバレント
14.ラストダンス
15.僕らまだアンダーグラウンド

(アンコール)
EN01.お気に召すまま
EN02.君に世界


Eve/Zepp DiverCity(TOKYO)
2019年2月にニューアルバム『おとぎ』をリリースしたEveによる東名阪ワンマンツアーのファイナル公演。ステージには雨の日、ひとつの映画館で起こる様々な風景を切り取ったアニメーションがループしていた。徐々に観客が集まっていくその様子は、2階席まで観客で埋まっていくフロアとリンクする。

このライブのコンセプトは映画館。本編でMCは設けられず、映画館の開演ブザーが鳴ると同時にライブは開演した。ステージに降ろされた紗幕にはオープニング映像が流れ、Eveのビジュアルアート全般に登場する特殊文字で表されたキャストクレジットは、彼の世界を現実に立ち昇らせるには充分すぎるほど粋な演出だ。

Eve/Zepp DiverCity(TOKYO)

ステージには真っ白の衣装に身を包んだEveと、ギタリスト、ベーシスト、ドラマーで構成されたバンドメンバーの計4人。ステージ前の紗幕とステージの白バックには異なる映像が映し出される。生音という空気感だけでなく視覚面も立体的になることで、Eveの音楽はよりリアリティを帯びていった。“デーモンダンストーキョー”や“あの娘シークレット”では東京の名所、スマートフォンのスワイプ、LINEの画面などが登場し、現実と非現実の境目もいよいよあやふや。喜怒哀楽がすべて言葉になったリリック、フラットで平熱のボーカルも相まって、彼の脳内に自分が迷い込むような感覚も生まれてきた。

穏やかなキーボードが奏でるインタールードと森を抜けた先に広がる街のアニメーションを経てダンスナンバー“やどりぎ”へ入ると、ミドルテンポの楽曲が続く。“迷い子”から4曲、Eveはギターボーカルスタイルでパフォーマンスした。素朴で素直な気持ちが綴られた歌詞をメロディに乗せて歌い上げる彼と、その言葉たちが日常の風景に降り注ぐ映像を見ていると、1対1で彼と他愛のない話をしているような心地になっていく。これだけ壮大な世界を創りながらもどこかノスタルジックで、飾り気がないところも、彼の魅力のひとつだろう。ギターをかき鳴らしながら観客一人ひとりに語り掛けるように歌った“楓”は、彼の等身大の優しさが存分に染み渡った。

Eve/Zepp DiverCity(TOKYO)

サポートメンバー一行によるインスト曲“fanfare”から“ナンセンス文学”へと滑らかにつなぐと、黒い衣装に身を包んだEveがステージに再登場する。スピード感をキープしたまま“ドラマツルギー”で軽快に哀愁を描き、“アンビバレント”ではハンドマイクでのびやかかつ真摯に歌った。“ラストダンス”で《舌が乾くまで話そうぜ》と歌い会場を鮮やかに彩ると、本編ラストは“僕らまだアンダーグラウンド”。意志の通った歌と楽曲が、強い包容力で会場中を満たしていた。

Eve/Zepp DiverCity(TOKYO)

アンコールで“お気に召すまま”を披露したあと、青いアコギを抱えたEveは笑顔でフロアを見渡し「楽しめましたか?」と問いかける。このステージに立てていることを「夢を見ているような不思議な感覚」と語り、「みんないろんなところからこの会場に集まってきてくれたから、こういう日を大事にして、一つひとつ進んでいきたい」と感謝の気持ちを告げた。“君に世界”は「次の曲をやったらライブが終わっちゃう」と名残惜しそうにしながら「次の令和でもみなさん仲良くしてやってください」と話す彼のあたたかい気持ちやキュートな人柄が、混じり気なく表れていたように思う。最後にEveは「今日はみなさんと過ごせて本当に楽しかったです」と深々と頭を下げ、手を振りステージを後にした。

Eve/Zepp DiverCity(TOKYO)

Eveの楽曲は彼の心の奥深い場所でもあり、彼がリスナーと相まみえることができる世界なのだろう。そこがオーバーグラウンドなのかアンダーグラウンドなのかはわからない。だが様々な人を招き入れることができる許容力を持った、闇も光もある鮮麗な場所であることは確かだ。まさしく「おとぎ」こそ、その象徴ともいえる言葉なのだろう。(沖さやこ)

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