RADWIMPS/横浜アリーナ

RADWIMPS/横浜アリーナ - All Photo by Takeshi YaoAll Photo by Takeshi Yao

●セットリスト
01.Anti Anti overture
02.tazuna
03.NEVER EVER ENDER
04.ギミギミック
05.カタルシスト
06.万歳千唱
07.謎謎
08.アイアンバイブル
09.I I U
10.そっけない
11.洗脳
12.PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~
13.おしゃかしゃま
14.DARMA GRAND PRIX
15.TIE TONGUE
16.泣き出しそうだよ feat.あいみょん
17.IKIJIBIKI
18.君と羊と青
19.いいんですか?
20.愛にできることはまだあるかい
(アンコール)
EN01.正解
EN02.DADA
EN03.会心の一撃

RADWIMPS/横浜アリーナ
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6月から、バンド史上初のスタジアムワンマンを含む本公演が全国17本。追加公演として横浜アリーナ3Daysもスケジュールされ、『天気の子』旋風冷めやらぬうちに千秋楽を迎えた「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」。野田洋次郎(Vo・G・Piano)はライブ序盤のうちに「俺ら、あと55公演ぐらいできるんだけど、受け取る覚悟はできてるんですかね? 誰一人置き去りにせず、最後までよろしくお願いします!」と告げていた。煽り文句としては、さほど珍しい部類のものではないかも知れない。しかしこの夜に思い知らされたのは、「これほど先鋭的な音楽に、誰一人として置いてけぼりにされていない」事実の凄さだった。

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アルバム『ANTI ANTI GENERATION』同様にアンビエントな“Anti Anti overture”が響き渡るオープニングから、野田の美麗なピアノ弾き語りで切り出される“tazuna”へと連なる。降りしきる雨のような光の演出も美しい。“NEVER EVER ENDER”の舞い上がるようなポストEDMのロックサウンドがアリーナ一面を余裕綽々で跳ね上がらせる中、武田祐介(B)はシンセサイザーを奏で、そして桑原彰(G)とステージの両翼にそれぞれ移動して煽り立てる。チャントのようなオーディエンスの歌声も、すでにパフォーマンスの一部として織り込まれているような響きだ。その直後には“ギミギミック”が差し込まれるのだが、サポートドラマー2人=刄田綴色と森瑞希も、驚くほどタイトなコンビネーションを決めてみせる。

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人力ブレイクビーツに4人のホーンセクション=タブゾンビ率いる「Tie-Tongue Zombies(タイタンゾンビーズ)」のフレーズが絡む“カタルシスト”から“万歳千唱”にかけて、まるで自分の歌であるかのように熱唱するオーディエンスの姿はどうだろう。桑原はその歌声に焚き付けられるように、満面の笑顔で開脚ジャンプを見せ、ギターソロを弾き倒している。とても濃厚で、緊密な音楽的コミュニケーションがそこにはあった。ジャジーな“謎謎”やトロピカルなファンキーグルーヴで弾ける“アイアンバイブル”もTie-Tongue Zombiesが活躍するアレンジで、RADWIMPSの演奏ポテンシャルが遺憾無く発揮されてゆくのだが、何より、斬新な上に多様性を極める今のRADWIMPSの音楽を、オーディエンスが余すことなく乗りこなし、ステージの上も下も関係なく一丸となってライブを作り上げているのである。にわかには信じがたい光景だ。


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野田、桑原、武田の3人がアリーナの両脇に伸びた花道を移動し、会場中央のセカンドステージに腰掛けて繊細なタッチで“I I U”を染み渡らせる。ピアノ弾き語りに味わい深いコントラバスやスライドギターが加わる名ソウルバラード“そっけない”でもオーディエンスに丸ごと歌を預けるなど、RADWIMPSは手放しの信頼感の中でオーディエンスと対話し、伸び伸びと演奏を続けていた。狂気寸前の独白をエクスペリメンタルな音像で放つ“洗脳”でさえ、まるで親しみのある唱歌のように共有されてしまうし、怒り心頭の超絶ラップで飛ばす“PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~”は暗闇の中の野田をカメラが追い回す緊迫したワンシーンと化すのだが、《こんな変わり者の俺の音楽を待ってくれてるファンたちと/絆を一つずつ作り上げ 毎度アリーナツアーやってんだ、バカが》の一節で皮膚を震わせるような大歓声が上がる。このディープインパクト2連発で、ライブの大成功は決まったようなものだった。


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“おしゃかしゃま”のバトルセッションもすこぶる楽しげで、アッパーなライブ定番曲を畳み掛ける後半戦。「まだツアーでやっていない曲をやってもいいですか? 一人では歌えない曲なので」と呼び込まれたのは、なんとあいみょんだ。横アリ初日のTaka(ONE OK ROCK/Vo)、2日目の三浦透子に続くビッグなサプライズゲストということで、悲鳴のような歓声も当然だろう。ジャケット姿のあいみょんは野田とハグを交わし、ここで披露された“泣き出しそうだよ feat.あいみょん”は、2人の掛け合いボーカルがあたかもミュージカルのように切々とした思いの交錯を描き出していた。最後にピアノを離れ、あいみょんと並んで歌をフィニッシュした野田は「えかったねえ……」と噛みしめるように告げる。

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また、“IKIJIBIKI”から“君と羊と青”、“いいんですか?”という歓喜の追い込みを経た後、野田は「音楽の中にずっといると、何が何だか分からなくなることがあるけど、みんながいると音楽って素晴らしいんだなって思う」と語った。何の嘘も飾り気もない、本音の言葉だろう。先鋭的なアーティストは、音楽を通して未来の欠片を見せてくれる。しかし、その飽くなき探求のための道標となり勇気となるのは、他ならぬオーディエンスの表情であり、声だ。RADWIMPSとオーディエンスはこの日、未来を作り上げていた。本編ラストを飾る2019年夏の聖歌“愛にできることはまだあるかい”。そしてアンコールに応えて出演者全員で記念撮影を行った後に披露された“正解”。その問いかけの向こうにあるものを、横浜アリーナに居合わせたすべての人が、確かに見たはずなのだ。(小池宏和)

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【速報】RADWIMPS、横浜アリーナ最終日公演を観た
「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」本編となる全国アリーナ/スタジアム17本を経て辿り着いた、追加公演の横浜アリーナ3デイズ。横アリ初日のサプライズゲストにTaka(ONE OK ROCK/Vo)、2日目には三浦透子を迎え、この最終日はあいみょんが登場するという…
【速報】RADWIMPS、横浜アリーナ最終日公演を観た
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