今週の一枚 RADWIMPS『ANTI ANTI GENERATION』

今週の一枚 RADWIMPS『ANTI ANTI GENERATION』 - 『ANTI ANTI GENERATION』『ANTI ANTI GENERATION』
『君の名は。』、『人間開花』以降もまったく足を止めることなく、多様で刺激的な楽曲の数々を生み出しライブを行ってきたRADWIMPSの活躍ぶりは、真に「創造性の爆発」という形容が相応しい。立派な大人になって丸く収まるどころか、都度予想を裏切りながら信頼感を増して突き進んでいる。その活動姿勢と、ニューアルバムの『ANTI ANTI GENERATION』(読み:アンティ アンタイ ジェネレーション)というタイトルは、無縁ではないように思える。

《数十年やそこいらで なに知った気になってんだい?/未開拓で未開発の 自分が何万といるんじゃない?》

とっ散らかった思いをユーモラスに吐き出して転がる、アルバム随一の威力を誇るロックチューン“IKIJIBIKI feat.Taka”の最終センテンスがこれである。ここから“カタルシスト”、“洗脳(Anti Anti Mix)”と斬新で尖りまくった楽曲が続くところもヤバいが、RADWIMPSは積み重ねた知識・経験の中だけで上手に器用にやりくりするような手続きをハナから放棄している。


ただし、野田洋次郎(Vo・G・Piano)はピーターパンではない。衝撃作“PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~”では、情報社会の暗部に真っ向から対峙し、社会を生きるひとりの人間として糾弾している。ここで問われているのは「誰もが生活を支えるために働いている」、「求められているからやっている」という常套句のもとに容認されがちな、悪しき習慣である。もはや思春期的な反抗を唱える年齢ではないかもしれない。ただ、社会に蔓延った悪しき習慣を容易く受け入れる大人になるわけにはいかない。そんな「反・反抗期」としての思いを『ANTI ANTI GENERATION』というタイトルから読み取るのだが、どうだろうか。

アルバム後半で印象深いのは、NHK『RADWIMPS 18祭 2018』の課題曲として制作された“万歳千唱”と“正解(18FES ver.)”の2曲だ。ただ若い世代にシンパシーを寄せるのではなく、《濡れた瞳で 明日を目指す意味を/僕は今でも 探し続けてるよ》と自分自身の姿勢を明らかにするところから語らいを築き始める“万歳千唱”。人それぞれが書き込むべき未来に余白を残してアルバムを締めくくる“正解(18FES ver.)”。いずれの楽曲も、リスナーがそれぞれの立場で歌声を寄り添わせるべきデザインになっている。今のRADWIMPSならではの新しいアンセムだ。

また、“泣き出しそうだよ feat.あいみょん”や“TIE TONGUE feat.Miyachi, Tabu Zombie”などは、バンドとしての成長の足取りを刻みつけ、大人びたサウンドを奏でるコラボ曲になっている。サウンドの手応えにおいても『ANTI ANTI GENERATION』の主張が浮かび、この後に“Mountain Top”という孤高の生き様が続く並びが素晴らしい。全17曲ものボリュームに必然があり、構成されたアルバムだ。

多様な楽曲が並んでいるのに、聴き終えたあなたが本作に抱くのは、きっと「最高のロックアルバム」という印象のはずだ。いたずらに反抗ごっこをしているわけではない。大人の生活者として譲れない思いを語り、鳴らすロック。それは確実に、世代や境遇の格差によって混迷する社会の向こう側にあるものを照らしている。受け止め方はそれぞれでいい。今の時代に生み出されるべくして生み出された、しかもRADWIMPSだからこそ生み出すことができた、ロックアルバムなのだ。(小池宏和)
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