今週の一枚 Ken Yokoyama『Sentimental Trash』

今週の一枚 Ken Yokoyama『Sentimental Trash』 - 『Sentimental Trash』9月2日発売『Sentimental Trash』9月2日発売

Ken Yokoyama
『Sentimental Trash』
2015年9月2日発売



東日本大震災を経て「横山健」を背負って作られた『Best Wishes』から約3年。待望のニューアルバム『Sentimental Trash』が届いた。7月にリリースされたシングル『I Won’t Turn Off My Radio』で今作の方向性は理解していたつもりだったが、それでも聴いてみて、ひゃっ!と目を閉じてしまうような衝撃が走った。いや、見ていられないわけではなく、眩しくって!

今作の中には、パンクロックヒーローの横山健も、オピニオンリーダーの横山健も、今まで通り存在している。でも、それ以上に際立っているのは、「ロックンロールが好きだ!」「ギターが好きだ!」と無邪気に笑う素顔の横山健だ。グレッチなど「箱ものギター」にハマったことで、メロディックパンク以前に通り抜けたロックンロールの門を、様々な経験を積んだ40代になって再びくぐることとなった彼。そこで溢れ出てきたのは、今までの「横山健」に収まりきらなかった、幅広いアレンジとグッドメロディだった。まさか彼の楽曲で、バリトンサックスが聴けるなんて!(6曲目“Roll The Dice”。吹いているのは、なんと東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦)。まさか彼がこんなに壮大なバラード“A Beautiful Song”を生み出して、甘いギターソロを奏でるなんて! こういったキーワードだけ並べると、渋くなっているのか?と思われそうだけれど、真逆。先にも書いたように、眩しいほどにフレッシュなのだ。歌詞では、政治や社会に踏み込んだ言葉や、年齢を重ねた現実味が露になった言葉も、今までにないほど包み隠さず並んでいるのだけれど、だからって「はいはい、オッサンがあーだこーだ言ってるのね」とは片付けられない鮮烈さをもって響いてくる。きっと、彼自身の、新しいチャレンジにわくわくする気持ちや、キッズに立ち返った状況が、楽曲に輝きを与えているのだろう。

今作は、ロックンロールは錆びない、人はいくつになったって進化できる、そういうことを教えてくれる、希望の1枚だと思う。(高橋美穂)
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