今週の一枚 Mr.Children 『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』

今週の一枚 Mr.Children 『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』

Mr.Children
『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』
2016年3月16日(水)発売



2015年のMr.Childrenは本当にすごかった。自分たちの持てる表現のすべてを惜しみなく楽曲化した全23曲の最新アルバム『REFLECTION』。そして、日本の音楽シーン最前線で闘い続けてきた自身の足跡を、“未完”“進化論”など『REFLECTION』曲から“innocent world”“Tomorrow never knows”などヒット曲群、初期曲“CHILDREN'S WORLD”(ツアーで披露するのは20年ぶり!)まで全開放してみせた「Mr.Children Stadium Tour 2015 未完」は、その内容だけでも伝説化必至の迫力に満ちたものだった。

アルバム発売日まで行われた25万人規模のアリーナツアー「TOUR 2015 REFLECTION」に続き、全国75万人を動員したスタジアム&ドームツアー=「Mr.Children STADIUM TOUR 2015 未完」の終盤、実に1日69,000人を動員して壮大な祝祭空間を描き出した日産スタジアム2DAYS公演の2日目=9月6日。時折「舞台続行可能か?」と心配になるほどの雨が降りしきる中、桜井和寿自身も雨に濡れながら花道へ進み出て、「滅多にないぞ、6万9千人が一緒に雨浴びるんだ。僕らは万全の準備をしてまいりました。この雨が降ることも想定内です!」という言葉とともに、悪天候を一気にネガポジ変換して至上の舞台装置に変えてみせた――そんな奇跡の一夜が、「一緒に濡れるぞおおおっ!!」という桜井の絶叫まで含めパッケージされているのが、このライヴ映像作品『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』だ。

本編中盤、「JEN(鈴木英哉)は濡れたいんだと思うよ。早く出ておいでよ!」と桜井が呼びかけ、桜井・田原・中川・鈴木の4人+サポートKey:SUNNYが花道の先のセンターステージへ移動、“and I love you”に続けて彼らが響かせたのは“タガタメ”だった。

Mr.Children“タガタメ”(from Stadium Tour 2015 未完)

切迫感と慈愛と闘志が渾然一体となって押し寄せるヘヴィな詞世界と、鈴木の1ストロークごとに激しく水しぶきが上がるほどの困難なシチュエーションが相俟って、「それでも前へ先へと生きる僕ら」の現実を浮き彫りにしてみせる――「この時代に渦巻く矛盾や軋み」「その中で生きる者の苦悩と葛藤」と「シーンど真ん中で鳴り響くロックミュージック」と直結して、最高の楽曲とともに提示し続けてきたMr.Childrenの凄味が、晴れやかな高揚感に満ちたあの日の記憶とともに、この上なくリアルに立ち昇ってくる。

アンコールまで含め全27曲・3時間超に及ぶステージの模様を、「わたしたちは何かをしっているようで、何もしらない」「わたしたちはいつでも生まれ変われる」といったメッセージの織り込まれたオープニング&エンディングのコンセプトムービーまで完全収録、さらにメンバー&スタッフのコメンタリー映像も収めた今作。90年代以降「誰でも知ってるバンド」だったMr.Childrenの、驚愕必至のヴァイタリティに満ちた「今」の姿は、多くの音楽ファンのMr.Children観/ロック観を覆しアップデートするだろう。それくらいの名作だ。(高橋智樹)
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