今週の一枚 DIR EN GREY『ARCHE』

今週の一枚 DIR EN GREY『ARCHE』

DIR EN GREY
『ARCHE』
2014年12月10日発売



日本が世界に誇ると言ってもいいレベルの大傑作だということをまず言っておく。

そして、DIR EN GREYのディスコグラフィーの中で大変化作として位置づけられるアルバムでもある。

また、DIR EN GREYの原点、ロックの原点に立ち返ったアルバムでもある。

そしてまた、DIR EN GREYをまだ聴いたことのない人たち、あるいは昔は聴いていて離れていった人たちの真正面に立ちはだかる大きな間口を持ったアルバムでもある。

もうひとつ加えるならば、メンバー自身が自分たちの表現衝動をもう一度新たに掴み直し、DIR EN GREYというバンドと向き合う姿勢を新たにしたアルバムでもある。



そうした多くの意味が重なり合い、そしてそれがすべての曲・音・歌詞に注ぎ込まれた、濃密で超強力なアルバムである。





アルバム1曲目“Un deux”からいきなりそれは伝わってくる。
2本の荒削りなギターリフとベースとドラムが雪崩のように押し寄せるイントロ、そして間髪をいれずに始まる歌のメロディアスな展開。
複雑な曲展開や聴き手を迷い込ませるトラップ的なパートは一切なしで、
ハードでメロディアスでストレートなロックで最後まで押し切って終わる。
そして2曲目“咀嚼”も同様にリフが炸裂するヘヴィーなロックで、しかも華麗なギターソロが早くも登場。
なんと3曲目“鱗”も同じく直球で、しかもスピードアップ。

アルバム冒頭から押して押して押しまくる展開なのだ。
こんな展開、ここ数年の作品には決してあり得なかった。
そしてアルバム全体が、そんな直球のイメージで貫かれている。
11年前のアルバム『VULGAR』以降続いた、複雑なイメージとは違う。



だが不思議なのは、けしてストレートな曲ばかりが並んでいるわけではないのだ。
壮大な曲“濤声”、プログレッシヴな曲“Phenomenon”“懐春“、シアトリカルな展開の“輪郭”など、
実は「バリエーション」という意味ではここ数作とそう大きくは変わらない。
だけどなぜか今回のアルバムは直感にストレートに訴えてくるように聴こえる。

おそらくそれは、、複雑な曲であってもメンバーの肉体に宿った「本能」が活かされ、
また逆にシンプルな曲であってもメンバーの脳に宿った「世界観」が広がっているからではないか。
つまり、
「メンバー一人一人の肉体と脳に身についたものをそのままストレートに出し尽くす」
という意味において、すべての曲が一貫した流れの中に統一されているのではないかと思う。
それができたのはこれまでの進化があってこそであり、メンバーの中にその自信が確立したからだろう。

冒頭で「原点に戻る」、という言葉を使ったが、実はこのアルバムは偉大なる到達点でもあるのだ。


そんな中でも、14曲目の“空谷の跫音”は、ちょっと特別な曲ではないかと思う。
今のメンバーの力を超えた何かに辿り着いた、奇跡の匂いがするのだ。
進化を目指さなくても進化を遂げる、今のDIR EN GREYの状態を象徴する1曲だと思う。
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