今週の一枚 [ALEXANDROS]『KABUTO』

今週の一枚 [ALEXANDROS]『KABUTO』 - 『KABUTO』通常盤『KABUTO』通常盤
8月に自身最大規模のワンマンとなる初のスタジアムライブ「VIP PARTY 2018」開催! さらに秋にニューアルバムをリリース!――というふたつの特大フラグを年明け早々ぶち上げてきた[ALEXANDROS]
そんな彼らから届いた、2018年第1弾音源にしてアルバムの予告編とも呼ぶべきニューシングル『KABUTO』は、今の彼らが体現する無限のロマンと、ロックバンドだからこそ描き得るハイエナジーな無敵感を、3つの新曲を通して雄弁に伝えてくるものだ。

獰猛にひずんだリフが聴く者を容赦なく狂騒の果てへと導く表題曲“KABUTO”。Aメロ/Bメロ/サビというテンプレートを度外視したシンプルな構造、インダストリアルロック的なざらついた音の質感、交感神経を研磨するようなサウンドスケープ――。ロックの核心だけを凝縮させたような楽曲世界の中に、[ALEXANDROS]のロックのダイナミズムをまっすぐ解き放ったこの曲は、彼らの新たなリーサルウェポンと言うべき迫力と爆発力を備えている。

カップリングには、東京メトロのCMソングとして話題を集めている“ハナウタ”を収録。これまで詞曲および編曲をすべてメンバー自身で手掛けてきた[ALEXANDROS]が、作詞:最果タヒ/編曲:小林武史と初のコラボレーションに挑んだ結果として生まれた、美しさと激しさのせめぎ合う名曲。《ひかりのなかに恋をしてる/孤独はきっと、そういうもの》のフレーズを歌い上げる川上洋平の麗しの歌声と伸びやかな音像は、彼らの表現が新たな領域に到達したことを明快に物語っている。
そして、最後の“Follow Me”。《空ろな解答欄を》、《感情で埋め尽くせ》と抑え難くあふれ返るエモーションを、ワイルドな激走感に託して性急なまでに時代の先端を爆進する――そんな彼らの在り方そのものの1曲だ。

現在発売中の『ROCKIN’ON JAPAN』6月号に掲載されている川上洋平ロングインタビューでは、“Follow Me”、“ハナウタ”ができた後で表題曲“KABUTO”が生まれたこと、もともとあったサビやメロディアスな部分を最終的に削って、リフ主体のソリッドなロックナンバーとして研ぎ澄ませていったこと……といった今作『KABUTO』の制作過程について明かされている。
自分たちが新たに生み出した楽曲が、バンド自身をさらなる「その先」の次元へと押し上げる誘因と原動力になっていく――そんな彼らのマジカルな現在地が、今作の3曲には高純度で結晶している。

単純にプロモーション的なことを考えれば、一大タイアップ曲“ハナウタ”との両A面シングルでも不思議ではない充実の1枚に対して、彼らは今の自分たちを象徴する一番のキラーカードとして“KABUTO”をタイトルチューンに掲げた。「求められるもの」ではなく「己の信じるもの」を揺るぎなく轟かせることでロックシーンの牽引者となった彼らのマインドは今なお、いや今こそ熱く強く沸き立っていることが十分に窺える。
そして、そんな[ALEXANDROS]の最新モードは、来るべき新作アルバムにどのような形で結実するのか?――と期待感を無限増幅させる1枚であることは間違いない。(高橋智樹)

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