今週の一枚 Perfume『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」』
2015.03.09 07:00
Perfume
『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」』
2015年3月10日発売
演出はPerfumeのライヴに既に欠かせない真鍋大度、美術監督にスタジオジブリ作品を手がける種田陽平、サウンドはもちろん中田ヤスタカ。Perfumeという最高のガールズグループの元に世界基準のクリエイターたちが集い、ライヴを創出しているという間違いないクオリティが大枠を支えつつも、このライヴの軸となっていたのはやはり、この日がメジャーデビュー10年目突入というメモリアルデーであるということだ。
最初のMCから、今日が記念日であることを満面の笑顔で告げ、歓喜を露にする3人。既にあ~ちゃんの目は潤んでいる。
長らく日の目を見ない時期があったことから生まれる、Perfumeの味のひとつである自虐性も含んだ「今だからこその笑い話」がとまらない。
とにかく、Perfumeが生まれてからの15年という年月のかけがえのなさとあ~ちゃん、かしゆか、のっちという、キュートで魅力的な人間性が爆発を起こしている。
その上で、海外ツアーも経験し、「日本の良さを世界に知ってほしい」という大きな夢を着実に叶えていっている3人には強い誇りが溢れていて、本当に頼もしい。
中田ヤスタカによる“EPISODE 0”からの“エレクトロ・ワールド”“DISPLAY”“SEVENTH HEAVEN”の流れはやはり最高だし、緑のレーザーが乱反射する中で3人が踊る“GLITTER”と“チョコレイト・ディスコ”は心底眩しい。
唯一無二のトライアングルが描く息を呑むほどのアートフォームは、チームPerfumeのレベルアップもあり、どんどん洗練されている。このライヴでも、ずっとPerfumeを支えてきたマネージャーへの感謝が度々メンバーの口から語られていたが、そういったスタッフとの信頼感も含めて、Perfumeの物語は時を重ねれば重ねるほど、深く愛しいものになっている。
よって、その事実を目の当たりにするライヴという場では、Perfumeが続けば続くほど、その幸せ度の更新を目の当たりにすることになる。
この日のライヴを特別なものにした最大の山場であるアンコールでのサプライズ。
2005年7月7日O-WESTにて、メジャーデビューが決まったことをあ~ちゃんがハイテンションで告げる映像が突然スクリーンで流れ、「え」ととまどう3人。そこから、涙と笑顔の10年間の映像が駆け足で流れ、あ~ちゃんは大粒の涙を零し、かしゆかは愛おしそうな泣き顔をし、のっちは喜びがこみ上げてきているようなワクワクした表情を浮かべる。
その後、10周年を祝うメッセージが客席にコレオグラフィとして現れ、言葉を失う3人。
涙が止まらないふたりのほうに向かって、「改めて見ると、ほんとにちっちゃい時から3人頑張ってきたね」と話すのっち。
なぜPerfumeは巨大でいられ続けるのか。
それは、3人が何よりもPerfumeを誠実に愛し、Perfumeの純度を高め続けているからだ。
その思いの強さがファンにもスタッフにも伝播し、Perfumeの純度はさらに上がっていく。
初回限定盤のDISC2には「代々木4days かけっこ集 ~熱き闘いの記録~」、「9.21 メジャーデビュー記念日密着リアルドキュメンタリー」、「ご当地チーム分けMC」が収録。
日本が誇るガールズグループによるハイ・クオリティのライヴパフォーマンスの最新形と、他に類を見ない現時点での幸福な物語を極限まで堪能できる映像作品だ。
(小松香里)