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    今週の一枚 Mrs. GREEN APPLE『Variety』

    今週の一枚 Mrs. GREEN APPLE『Variety』 - 『Variety』7月8日発売『Variety』7月8日発売

    Mrs. GREEN APPLE
    『Variety』
    2015年7月8日発売



    18歳のフロントマン・大森元貴(Vo・G)率いる5人組バンド、Mrs. GREEN APPLEによる、メジャーデビューミニアルバム『Variety』。

    ドラムロールから始まる、ファンファーレのような華々しいサウンドとともに、《武装と創と造で登場!!!!!》と歌う1曲目“StaRt”から、今作で最後の最後に生み落とされたという、これまでを総括し、この先に進むために、《こんな世界を未だ憎めないのは何故か/気づいてるよ わかっては居るけど/生き抜くには満ち足りすぎているの。/「愛」と呼べる本物を/さぁ 探せ》と歌う6曲目の“道徳と皿”まで――。
    高速でアップデートされ続けるこの世界で生き抜くため、Mrs. GREEN APPLEは超カラフルで緻密でハイパーな新しきロックを奏でる。
    タイトルの『Variety』も、カラフルな果物と草木が皿から浮いているジャケットも、大森元貴が見ている世界そのものである。
    氾濫する情報に、乗っかるわけでもなく、打ちひしがれるわけでもなく、距離を取るわけでもなく、果敢に戦おうとする。
    だからこそ、音数と言葉数は膨大でも、そこに貫かれた強い意志とメロディによって、メッセージがぐっさりと刺さるのだ。

    『ロッキング・オン・ジャパン』8月号(6月30日発売)に掲載されているロング・インタヴューで、大森元貴はこう話している。
    「いろいろな代弁者になりたいと思うし、自分と同じ18歳の子たちと一緒に成長していかなきゃいけないとも思う」
    そして、
    「自分で見出さないと自分のものになっていかない」「もがいて自分の正解を見出してかないといけない」というようなことを、繰り返し口にしている。

    何を信じ、何を疑えばいいのか。
    何を選び、何を捨てればいいのか。
    何を幸せと思えばいいのか――。

    ここから生きるため、ロックの未来をこじ開けるMrs. GREEN APPLE、その大きな第一歩だ。
    溢れる闘争心を、強い希望とエンターテインメントに変換し、不特定多数の聴き手に対しての強力なポップにしているところが、本当に頼もしい。

    (小松香里)
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