the telephones
『SUPER HIGH TENSION』
今の新世代の勢いは確かに凄いが、テレフォンズ世代のバンドのそれぞれの頑張り方を見逃してはならない。
andymoriは解散ライブが怪我によって延期されているといういたたまれない状況だが、ミイラズも、ボウディーズも、BIGMAMAも、そしてテレフォンズもそれぞれが独自のやり方で時代を突き進んでいる。
その中でもテレフォンズはかなり特殊だ。
もともと暗いグランジ志向のネガティブな世界観を持っていた石毛が、一点突破の開き直り(実は無意識に時代の先を読んでいたのだが)でハイテンションなダンス・ミュージックに挑戦したのが始まりだった。
そこから「DISCO!」をキーワードにして、ひたすら四つ打ちのわかりやすさと、シンセとハイトーンヴォイスの多幸感と、鬼気迫るほどのライブのテンションでフェスのメインステージにまで上り詰めてきたのが彼らだ。
まさに一直線。本人たち的には、そして作品的にはいろいろな紆余曲折があったが、彼らのライブの楽しさ、異常なまでのハイテンションな楽しさは彼らの最大のアイデンティティーとして変わらない。不動のアイデンティティーである。
そして今、テレフォンズよりも下の新世代バンドたちが「四つ打ちで縦ノリのハイテンションで楽しいライブ」をほぼデフォルト装備してシーンを盛り上げている現状の中でテレフォンズはどう戦うのか。
言うまでもない、ハイテンションな四つ打ちのダンスミュージックの楽しさを一直線に極めるのだ。
このニュー・アルバムはその宣言のような作品だ。
ただし、その楽しさの強度、そのダンスミュージックとしての強度が「デフォルト装備」のレベルとは一線を画していることが強く打ち出されている。
ブレずに、シンプルに、その「強度」だけを上げまくった作品。
確信を持ってテレフォンズのアイデンティティーを再び祝福するような作品。
強い「楽しさ」。
テレフォンズは頼もしい歩み方をしている。