今週の一枚 UVERworld『DECIDED』

今週の一枚 UVERworld『DECIDED』
7月12日にリリースされたニューシングル『DECIDED』については、ROCKIN’ ON JAPAN誌面から転載されたディスクレビュー記事も既に公開されているので、このテキストでは少し別の切り口を探ってみたい。なにしろ、約3年ぶりのフルアルバム『TYCOON』のリリースも8月2日と目前に迫っているところなので、『DECIDED』までの経緯を振り返りつつ、ニューアルバムを占ってみるのも一興ではないかと思うのだ。

切り開く未来と、暴露される過去
いよいよのニューアルバム『TYCOON』リリースも待ち遠しいUVERworldだが、それに先がけてのシングル表題曲は、実写版映画『銀魂』の主題歌としての書き下ろし。猛々しいハーモニーコーラスを経てハイブリッドなサウンドが駆け抜け、「もっとも大切なものは決断である」というメッセージを運ぶナンバー…
UVERworld DECIDED

UVERworldは、デビューアルバム『Timeless』から前作『Ø CHOIR』までのアルバムをすべて1〜2年以内にリリースしてきたわけで、そう考えると『Ø CHOIR』から『TYCOON』までの約3年というスパンは大きい。とはいえ、その間にも大掛かりなツアーは行われていた(結成15周年&デビュー10周年というアニバーサリーも挟んでいた)し、強力なシングルも立て続けにリリースされていたので、彼らの不在感は微塵も受け止められなかったのだが。

すでに公開済みの『TYCOON』のトラックリストのうち、シングル表題曲やカップリング曲、映像企画のテーマ曲などの既発曲は9曲ある。そしてアルバム全体となると、全18曲にも及ぶトラック数だ。世間を広く見渡せば、トラック数が10曲を割るアルバムだって少なくない時代の話である。アルバムの価値はトラック数で決まるものではないけれど、それにしたって異様な詰め込み方だ。TAKUYA∞はROCKIN’ ON JAPAN 2017年8月号のインタビューの中で、CDの収録限界を越えてしまった分をどう削ろうか、という話をしていた。

ここに、ニューアルバム『TYCOON』が3年のスパンを要したことの理由があるように思える。『僕の言葉ではない これは僕達の言葉』以降のシングル収録曲は、表題曲であるか否かに関わらず、また大型タイアップなどの有無にも関わらず、1曲1曲が体重を乗せたストレートのように、ライブの重要な一幕を担ってきた。UVERworldの熱心なリスナーは、『TYCOON』リリース前から、すでにこのアルバムの価値を半分ぐらい理解していると言っていいだろう。

CDなどフィジカル音源の存在意義が問われる時代に、UVERworldはこれ以上ない形で、シングル作品に大きな意味を見出していたのである。『TYCOON』はさしずめ、重いパンチが続いた後の完璧なフィニッシュブローといったところだろうか。リリースそのものの意味と価値を問い直すための3年間が、そこにはあった。

そしてもう一点、UVERworldがこの3年間に成し得たことに、ロックバンドとして現代EDMときっちりと向き合い、彼らなりの答えを示し続けてきたということが挙げられる。UVERworldはもともとエレクトロサウンドを取り入れるスタイルのバンドではあったが、今日世界的に猛威を振るうEDMのダンス性能や華やかさをただなぞるのではなく、あくまでもロックバンドの息遣いとしてまたグルーヴとして、EDMサウンドを解釈してみせたのだ。“I LOVE THE WORLD”から“DECIDED”、“RANGE”といった近作曲に至るまで、その成果を確かに感じ取ることができる。

それぞれに強いメッセージの込められたシングル曲群を振り返り、反芻しておくことは、来るアルバム『TYCOON』を聴き、深く読み解くことのひとつの手がかりとなるのは間違いない。あらためて音源に触れ、また目下進行中のライブハウスツアーに足を運びながら、備えを万全にして『TYCOON』を受け止めてほしい。(小池宏和)
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